2016年度の訪日外国人が2400万人を突破し、ますます増加傾向のインバウンド需要。
主要都市をはじめとしたインバウンド対応がどんどん増えて行く中、新しい取り組みも広まっています。
今回はそんな事例を3つ紹介していこうと思います。
訪日外国人を含む電動車いすの鉄道乗車における条件緩和へ
国土交通省と鉄道各社は、ハンドル型電動車いすで列車に乗る時の条件を緩和し、訪日外国人の乗車を認める方針を決めた。従来は、国内法でハンドル型電動車いすの利用が認められた人しか乗車できず、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた対応の見直しが求められていた。
出典:『訪日外国人も鉄道OK 条件緩和へ』毎日新聞2017年4月12日掲載
今まで、ハンドル型電動車いすは利用が認められた人しか乗車できず、なおかつ外国人は乗ることができませんでした。しかし、国土交通省と鉄道各社は今年3月、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、年内でのルール改正を決めました。 ただ、ルール改正だけでなく、ハード面の変更も必要になります。ただでさえ主要都市はそもそもの利用者が多く、乗れないこともあるので、特別な多目的室を設置する必要があるようです。
医療現場での多言語化
外国人旅行者受入可能な医療機関リストの掲載数の充実 昨年度、外国人旅行者がスムーズに医療機関にアクセスできるよう、観光庁と厚生労働省が示した要件に基づき、外国人旅行者の受入れが可能な医療機関の選定(※)を都道府県に依頼し、全国から約320の医療機関が報告されましたが、今年度はさらに追加報告があり約900に達しました。
出典:国土交通省観光庁
訪日中に体調不良等で医療機関にかかる割合が2〜3%と言われています。これを実際の数に直すと、2016年度が約2400万人だったため、48〜72万人ほどになり、医療現場での多言語化が急務になっています。 現在は多言語受け入れ対応可能な医療機関が去年320件だったのに対し、今年になって900件報告されています。インバウンドだけでなく、その先の定住までを視野に入れるともっと多くの医療機関が対応している必要性があります。 しかし、今のところ、まだまだ問題は山積みです。この多言語化対応を謳っている医療機関の大半が日本語のHPしかないことが多く、使いづらくなっています。また、英語だけしか対応していない場合がほとんどであるため、実際のニーズには程遠いのが現状です。
観光ガイドにおける高齢者の育成と雇用
高齢者の雇用を支援する京都府元気シニア活躍協議会は、高齢者観光ガイドを育成する「京都ウェルカムサポーター養成講座」の1期生を募集している。60歳以上を対象とした講座や研修を実施して、高齢者の地域活動を促す狙い。
出典:『京都観光ガイドに高齢者育成へ 雇用支援、5月から講座』京都新聞2017年4月17日
変わり種として、京都の歴史や文化に詳しい高齢者を観光ガイドとして育成、雇用するという京都府の事業です。これによりまだまだ働ける高齢者の雇用促進と観光ガイドの需要を同時に解決する画期的なものです。 流れとしてはまず観光ガイドの無料講座を受講し、修了後、観光団体などからの要請に応じて、観光ガイドとして活動することになるようです。ただ、募集要項には英検2~3級か、TOEICスコア350~550の証明が必要なのですが、このスコアだと説明以外は難しいので、通訳の人は結局必要かもしれないですね。
インバウンドだけでなく先を見据えた対策を
2020年に向けてインバウンドの対策がこれからもどんどん官民問わずに広がって行くことが予想されます。ただ、インバウンドブームに乗って一過性の対策ではなくて、日本の人口が少なくなった時にどうするかも含めた対策にしておくべきかと思います。 そこまで見据えて、日本の未来をみんなで描いていければ、より良い社会を作っていけるのではないでしょうか。