2020年には東京オリンピックを控え、訪日外国人旅行者数4000万人を目標に観光立国・日本を実現に向けて様々な準備が進められていますが、訪日客を出迎える玄関である空港が高まるインバウンド需要の喚起と受け入れにどのような取り組みをしているのか、調査しました。
現在の全国各地の空港への訪日客数比較
まず、訪日外国人観光客がどの空港から入国しているのか、2016年の法務省・出入国管理統計からトップ10を見てみましょう。
1位:成田空港 682.2万人
2位:関西空港 608.6万人
3位:羽田空港 326.4万人
4位:福岡空港 163.1万人
5位:那覇空港 135.4万人
6位:中部国際空港 122.2万人
7位:新千歳空港 114.7万人
8位:富士山静岡空港 10.7万人
9位:函館空港 10.1万人
10位:広島空港 9.7万人
主要7空港とされている成田、関空、羽田、福岡、那覇、中部、新千歳空港からそれぞれ100万人以上の訪日外国人観光客が入国していますが、8位以下は10万人台とぐっと数が減ることがわかります。
インバウンド需要が地方都市へも広がりつつあるとはいえ、まだまだ首都圏への需要が高いと言えるでしょう。
主要空港での施作
2016年の訪日外国人観光客は過去最高の2404万人を記録しましたが、2020年度の目標となる4000万人を実現するためには、今後も入国者数が高い水準になることが予想される主要空港での手続きの合理化と地方空港へのインバウンド誘致となります。 具体的な施策について主要空港から見ていきましょう。 羽田空港では日本人を対象として顔認証技術を活用した「顔認証ゲート」を2017年10月から導入し、日本人の出帰国手続を合理化することで外国人の入国審査に当てる余力を作り、厳格かつ円滑な入国管理に取り組むことになりました。 「顔認証ゲート」は羽田空港に先行導入した後、順次成田、関西、中部国際空港などにも導入を進める方針となっています。
地方空港での施策
前述の法務省の2016年統計から訪日外国人観光客の入国は主要7空港、特に成田・関西・羽田空港に集中していることがわかりますが、地方空港についてはすべて合わせても5%しかありません。 そこで国土交通省は全国32の地方空港への国際線の誘致・新規就航等を目的とした着陸料の軽減や経費支援を行うことを2017年7月4日に発表しました。 対象となるのは「訪日誘客支援空港」に認定された合計32の地方空港で、今後最大3年間、国からの支援が行われます。
インバウンド需要を地方へ
訪日外国人を迎える玄関口、空港は合理化や国際線の誘致等の施策を通して訪日外国人観光客4000万人の実現へ向けた取り組みを始めています。 また、空港別の入国者数のデータを前年と比較すると帯広空港の伸び率466.05%をはじめ、インバウンド需要が地方に育ちつつあることがわかります。 訪日外国人観光客4000万人実現のカギは地方が握っていると言えそうです。