インバウンド集客の窓口となる主要空港の国際線ターミナルで外国人観光客によって置き去りにされたスーツケースの問題が表面化しています。
スーツケースが放置される理由や引き起こされる問題について見てきましょう。
全国各地の空港でスーツケースが大量に捨てられている
2017年、成田空港・出発ロビーに放置されていたスーツケースの数は約250個、関西空港の場合は2013年と比較して3倍を超える258個のスーツケースが捨てられており、成田空港とほぼ同じ数量となっています。 その他の空港を見てみると羽田空港は毎月10個以上、千歳空港では毎年100個以上のスーツケースが放置されているなど、国際線が発着する空港において同様の問題が起きていることがわかります。
なぜ外国人観光客はスーツケースを放置する?
このような放置スーツケースは外国人観光客が訪日中に新しいスーツケースに買い替えたり、持ち込み荷物の制限に引っかかったりしたことが理由として考えられると空港関係者は話しています。 それらの多くはゴミ箱の近くに置かれていることが多く、警備員が放置しようとしているところを見かけて注意したとしても別の場所に捨てられるだけで効果がない、といいます。
放置スーツケースについて考えられる問題
①保管・移動コスト
放置されたスーツケースは外国人観光客が「捨てた」ものなのであればゴミとして扱えば良いのでは?という意見がありますが、日本の法律では置き去りにされたスーツケースは遺失物という扱いになるため近くの警察署で少なくとも3ヶ月保管される必要があります。 しかし、現時点ですでに十分な保管場所が確保できないという問題が起きています。また、サイズの大きなスーツケースを移動・保管するコストも無視できないものになっています。 明らかに破損している場合にはゴミとして扱うことができますが、それでも処分に費用が発生してしまいます。
②テロ対策費を圧迫
また、世界中でテロが増加する状況下、放置されたスーツケースは爆発物の可能性や麻薬の受け渡しに利用された可能性等を1つずつ確認する作業が必要となるため、各空港の保安警備部は仕事の増加に悲鳴を上げています。
考えられる対策は?
この放置スーツケース問題は2018年初めから話題になっていますが、有効な対策を見出すことができていないのが現状です。 現状では空港での放置が目立っていますが、いずれ宿泊施設等での放置も事例として増加する可能性を考慮しておく必要が出てきそうです。