インバウンドの盛り上がりによって日本の文化を楽しむ外国人が増加しています。中でも日本滞在中に温泉を体験したことによって新しい習慣に目覚めた、という人は少なくないようです。
このように温泉そのものは評価が高いものの、宿泊施設としての旅館については外国人からの評価が必ずしも高いとは言えないようです。
シャワー派が湯船派へ
花王が日本在住の外国人を対象にした調査によると、来日以前はシャワー派が半数以上だったのが、来日後は8割の人が“湯船派”になっていた他、湯船での入浴が好きになり、時間も長くなる傾向があったそうです。 また、訪日旅行中に温泉を体験した外国人は温泉で得られる美肌効果や効能だけではなく、露天風呂等で楽しめる美しい景色を見ながらの入浴体験が素晴らしい、という意見が寄せられています。 しかし、旅館については訪日外国人観光客に対してアピールするためには改善が必要のようです。
旅館における改善案
①旅館のルールや温泉での作法を多言語で伝える
外国人にはわかりにくい明文化されていないルール
食事の準備や布団を敷いてくれる際等、客室に仲居さんが出入りしてサービスを提供してくれる旅館のスタイルは外国人観光客にとってはわかりにくい側面があります。室内に入る際に靴を脱ぐべきなのか、温泉の入り方の正しいルールは?等、日本人にはわからない疑問が外国人にはたくさんあるのです。
事前に学んでもらう
まず身体を洗ってから湯船に入る、といった基本的な入浴時の作法や浴衣の正しい着方、部屋でのすごし方や仲居さんが客室に出入りすることなど、多言語で説明した資料を配布したりウェブサイトにあらかじめ掲載しておくことで外国人観光客への利便性を向上させつつ、相互の理解も深まります。
②夕食についての考え方を見直す
食事の時間固定
外国人観光客が宿泊施設としての旅館に不満を感じる理由の一つが夕食です。 旅館の夕食の時間はあらかじめ決められていて、その時間に食事を取ることになります。その時点で旅行者にとってのスケジュールはある程度拘束されてしまいます。
豪華夕食で宿泊料金増
また、豪華な夕食は旅館のセールスポイントにもなっているのですが、その分宿泊料金も高くなっています。 訪日外国人観光客の休暇として一般的なのは数日間同じ宿泊先に滞在し、周辺の飲食店等で様々な食文化を楽しむというものです。 その点で言えば旅館の宿泊代は連泊するには高く、また懐石をベースにした豪華な食事を夕食として続けて食べる、というのも訪日外国人観光客が考える訪日旅行とはかけ離れてしまうようです。
旅館食事と外国人ニーズとのギャップ
また、「訪日外国人の消費動向 平成28年10-12月期報告書」によると、訪日外国人が訪日中に最も満足感を感じた食事は「肉料理」の25.2%が最も票を集めており、「寿司」の21.9%、「ラーメン」の14.6%が続いています。 一般的な旅館の夕食は魚料理が中心だと思いますが、訪日外国人が食べたいと思う日本料理とはギャップがありそうです。
改善案
この点を踏まえてインバウンド需要を獲得したい、ということであれば思い切って夕食なしでその分リーズナブルに宿泊できるプランを用意し、周辺の飲食店への送客を行う等、食に関する選択肢と夜の時間の自由な楽しみ方を提供することや、夕食に肉料理を中心としたメニューを用意するなど、多様性を意識することを検討してみてはいかがでしょうか。
③多言語対応のウェブサイトで情報提供
個人旅行者が訪日中の宿泊先を決める際、予約サイトのレビューは重要な情報として参照されていますが、部屋の様子やどのような食事が用意されるのか、周辺に何があるのか、といったような情報は宿泊先のウェブサイトで確認することになります。 ウェブサイトにこのような情報がきちんと多言語で表示されていれば、外国人観光客にとっては事前に情報を得ることができ、そうではない宿泊先と比較した場合に選んでもらいやすくなるでしょう。
多言語でのサービス提供が理想
このように旅館の文化、魅力を訪日外国人観光客にきちんと伝えることができれば「コト消費」として成立するポテンシャルがあると言えるでしょう。 また、英語や中国語、韓国語等を含めたサービスの多言語対応も重要度が高いのですが、すぐに対応するのが難しいこともあり、まずは旅館内の案内、掲示物等を多言語化するところが第一歩です。 今回ご紹介した旅館がインバウンド需要を獲得するためのウェブサイトや旅館のルール説明資料の多言語化等はアドリンクでお手伝いが可能ですので、気軽にお問合せください。