2017年に日本を訪れた外国人観光客は2869万人となり、過去最高を記録しました。
政府が掲げる目標は2020年に4000万人ですが、実現するためにはいくつかの課題があります。その中の一つがタクシーです。移動手段として欠かせないタクシーですが、問題視されている白タク以外にも対策すべき課題が残されています。
高付加価値・割高・白タクについて
過去記事で何度か取り上げている白タク問題ですが、警視庁も問題視し、主に空港等で摘発に向けた取り組みをしています。 そんな中、警視庁交通捜査課が7月2日に逮捕した中国人男性は約60人のドライバーを抱え、2015年10月から白タク営業を行い、摘発されるまでの約8000万円もの売上をあげていたといいます。 通常、白タクは正規のタクシー料金よりも安い料金でサービスを行い、集客をしますが、このケースの場合、正規料金の約4倍もの料金設定を行っていました。 それでも大型ワゴンを使い、ネット経由で予約と決済が可能で運転手に中国語、英語等が通じるというこのサービスは利便性の高さから中国以外の訪日外国人にも利用されていたといいます。
白タクへの対抗事例
決済を事前に済ませていたり、電子決済だったりと現行犯逮捕が前提の白タク行為は摘発が難しいとされていますが、警視庁も空港などを中心に監視の目を強めることで対策を続けています。 そんな中、民間のタクシー会社はどのような対策で白タクに対抗しようとしているのでしょうか?
①配車アプリ・全国タクシーは登録車両6万台
東京都千代田区でタクシー関連のシステム開発を行うジャパンタクシーが運営する配車アプリ、「全国タクシー」は500万を超えるダウンロード数で日本最大の配車アプリです。 2018年7月25日に東京無線協同組合が参画すると発表したことで、全国で6万台のタクシー車両を同アプリから呼び出すことができるようになりました。 6万台という車両数は全国のタクシー車両の4分の1という規模になりますが、配車の利便性を向上させることでインバウンド需要の取り込みを狙っています。
②ソフトバンクは滴滴出行と配車プラットフォームを展開
海外に目を向けるとUberのような配車アプリがスタンダードとして普及していますが、中国でトップシェアを取る配車アプリ、滴滴出行とソフトバンクはタクシー配車プラットフォームのトライアルを無償で2018年秋から開始すると発表しました。 同サービスはソフトバンクと滴滴出行が合弁で設立した法人、DiDiモビリティジャパンが運営を行いますが、訪日外国人観光客のトップを占める中国人にとって馴染みの深いプラットフォームを提供することでタクシー利用の拡大を狙う他、ドライバーの顔認証等によって白タクのドライバーが同プラットフォームを利用できないような対策を取るとしています。
③その他のタクシー会社の取組みは?
今回の摘発の事例から伺えることは、外国人観光客はタクシーに利便性を求めている、ということです。 その点についてもタクシー会社はそれぞれに取り組みを始めており、過去記事でまとめています。 主な取り組みとして挙げられるのは下記のようなものです。
- 翻訳機による多言語対応
- 外国人ドライバーの育成
- キャッシュレス対応
- ハイグレード車両
このような対応を行うには当然コストが掛かるため、タクシー会社の全てが実行するのは難しいかもしれません。しかし、摘発を受けた白タクは正規料金を遥かに超える料金でサービスを提供していたことから、外国人観光客にきちんとした利便性を提供できるのであれば、高いサービス料金を受け入れてもらうことは出来そうです。
まとめ
タクシー業界は白タク問題以外にもライドシェアが進出してくる可能性もあることや自動運転技術の実用化等、さらに激しい競争に晒されることが予想されます。 しかし、インバウンド需要の高まりに伴い市場が拡大していることは事実です。マイナス面にばかり目を向けず、前向きな努力によって高品質なサービスを実現することが最も有効なインバウンド対策になるのではないでしょうか。]]>