【大阪地震、北海道地震】宿泊先での外国人への被災時対応の現実

2018年に日本を襲った大阪地震、北海道地震と2016年に発生した熊本地震について、(株)サーベイリサーチセンターが行った外国人観光客の被災時の情報収集についての調査結果を前回の記事で解説しましたが、今回は同調査から宿泊先での対応について見てみることにします。

宿泊先での避難誘導は適切?

調査によると被災後の情報収集先として北海道地震では30.3%、大阪地震では26.3%、熊本地震でも27.8%が「宿泊先の従業員からの情報収集」と回答しています。
このように重要度が高い宿泊先における災害時の対応ですが、実情はどのようになっているのでしょうか?

北海道地震

・避難誘導があり理解できた   25.8%
・避難誘導はあったが日本語で理解ができなかった   12.3%

避難誘導があった、という回答は合わせて38.1%、約60%は避難誘導がなかったという回答をしています。
また、避難誘導があったという回答の中で理解できたという回答は約7割でしたが、残りの約3割は言語の問題で理解できなかったということになります。

大阪地震

・避難誘導があり理解できた   24.8%
・避難誘導はあったが日本語で理解ができなかった   9.4%

避難誘導があった、という回答は合わせて34.2%、約60%が避難誘導がなかったという回答となっており、北海道地震とほぼ同じ傾向です。
また、避難誘導があったという回答の中で理解できたという回答は約7割でしたが、残りの約3割は言語の問題で理解できなかったということになります。

熊本地震

・避難誘導があり理解できた   32.4%
・避難誘導はあったが日本語で理解ができなかった   11.8%
・避難誘導はわからないが他の客が避難するのをみた  8.8%

約40%強が避難誘導はなかったと回答しています。

また、熊本地震についての調査では宿泊施設にチェックインした際に避難についての説明の有無についてのデータがあり、あったと回答した人の割合は17.6%に留まっています。

観光庁は「自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアル策定ガイドライン」を元に作宿泊施設を含む観光地が災害発生時に外国人旅行者に対して行うべき初動対応についての指針を示しており、多言語コミュニケーションツールを用いた情報提供が必要とされていますが、今後更に徹底していく必要がありそうです。

3つの地震ともにインフォメーションセンターの活用率が低い

まだまだ認知が足らないインフォメーションセンター

災害発生時の情報入手先として有効となるのがコールセンター等のインフォメーションセンターですが、

同調査では情報入手先としてインフォメーションセンターと回答した割合は

北海道地震:6.5%、大阪地震:13.2%、熊本地震:6.9%と低い水準に留まりました。

大阪では2017年3月に多言語対応可能なコールセンター「大阪コールセンター」を開設し、24時間対応を行っていましたが、本来はもっと活用されてしかるべきではないでしょうか?

観光庁のアプリも振るわず

また、観光庁が外国人旅行者向けに災害時情報を提供することを目的としてリリースしているスマートフォン用アプリに「Safety tips」がありますが、同調査の回答の中に「Safety tips」またはスマホアプリでの情報収集という回答と思われるものはありませんでした。

以前の記事で大阪観光局の防災への取組みのレベルの高さについて触れていますが、多言語対応のコールセンターの存在やSafety tipsのような施策が外国人観光客に認知されておらず、活用されていないという可能性が考えられます。

まとめ

調査内容を読み解くことで見えてくるのは災害時の対策の重要性は認識されながらも現場レベルでは実施されていないケースが多く、また外国人観光客側としても災害時に用意されている施策についての情報を予め持ち合わせていることは少ない、ということです。

日本は地震や災害が多い国、という印象が強くなっている中、インバウンド増をこれまで以上に推進するためにはきちんとした対策を用意し、それを海外に向けてアピールすることが必要です。
そのためには宿泊先や観光地等、現場レベルでの地味な災害時の対応の準備が求められています。

 

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