2020年に控えるビッグイベントといえば東京オリンピックですが、2019年の5月9日から観戦チケットの抽選予約が始まりました。
オリンピックより一足先に今年開催されるラグビーワールドカップを皮切りにスポーツ関連のイベントを起点としたインバウンド増が期待されていますが、持続的な訪日外国人の獲得のためにスポーツツーリズムが注目を集めています。
大阪観光局の取り組みとは?
特に関西では2021年に30歳以上であればだれでも参加することができる生涯スポーツの国際競技大会、関西ワールドマスターズゲームズ(WMG)が控えている他、2025年には大阪・関西万博が開催されるため、訪日客とスポーツをどのように結びつけるか、という試みが積極的に行われています。
東アジアに人気の卓球が「見る」スポーツとして脚光?
アジアでの活躍もあり知名度を高めているJリーグのガンバ大阪、セレッソ大阪を始め、台湾でも人気のあるプロ野球チーム、オリックス・バファローズ等、多くのプロスポーツチームが本拠地としている大阪では観光客が試合を観戦できるような施策を展開していますが、特徴的なのが卓球です。 スポーツ興行が成立している野球やサッカーと違い、卓球は昨年プロアマが併存するTリーグが発足したところで、1年目の平均観客数は約1200人と数字だけを見ると特筆すべき点はなさそうです。 しかし大阪府内にはTリーグの初代女王・日本生命レッドエルフ、同3位の日本ペイントマレッツの2チームが本拠を構えるほか、来年開催の日本選手権も大阪で開かれる予定となっており、大阪を訪れる外国人観光客の多くが東アジアからで卓球の人気が高いことを考慮するとトップレベルの試合を観戦できるということが観光資源として成立するのでは、と見込んでいます。
ラグビーW杯や関西WMGはリピーターの獲得が鍵
野球、サッカー、卓球の事例は元々関西を訪れるインバウンド層との親和性が高いスポーツですが、ラグビーの場合、日本観光としてのラグビーの上位国・地域からの訪日客が多いとは言えず、ラグビー観戦をきっかけに大阪、日本を訪れるというケースが多くなりそうです。また、同様のことが関西WMGについても言えます。 そもそも大阪に対して馴染みがない可能性が高い訪日客はいわば新規客となりますので、もてなしをしっかりと行うことでリピーター化するような仕組みやアイディアが必要になります。
ソフトバンクホークスのインバウンド対応
インバウンド向けのもてなしの参考になりそうなのがソフトバンクホークスの本拠地、福岡ヤフオク!ドームの取り組みです。 この3月にインバウンド向けの新シートとして最大1000席となるHello Seatが設けられました。このシートはバックスクリーンの近くで試合の臨場感と応援が楽しめる他、英語・中国語・韓国語が話せるスタッフによる多言語対応を行っています。 これなら競技そのものを知らなくても楽しむことができますし、球場グルメや応援に参加するなど、別の楽しみを味わうことができそうです。
まとめ
今回はビッグイベントを切り口にスポーツツーリズムを推進している大阪市の取り組みを見てみましたが、インバウンド層と親和性の高いスポーツを持続的なコンテンツに育てるというアプローチとイベントをきっかけに初めて大阪を訪れる層に向けてスポーツ経由でリピーターになってもらう、という試みをしていました。 大阪市のような既にインバウンドからの人気都市となっているところの取り組みは参考になりにくいかもしれませんが、持続性という点に目を向けると以前の記事でも紹介した武道ツーリズムのような活動であれば地方でも実施できますし、観光資源として育てることができそうです。 また、サイクルツーリズムのような「する」スポーツツーリズムもありますので、観光資源がなくて困る、という方はスポーツに目を向けてみてはいかがでしょうか?