インバウンドが訪れる日本の観光地といえば京都、大阪、東京、北海道などが思い浮かびますが、今後四国を多くのインバウンドが訪れることになるかもしれません。
今回は旅行ガイドブック・ロンリープラネットの2019年ランキングの2位に四国がランクインした事例からなぜ四国が注目されたのか、背景を含めて見ていきます。
世界シェアNo.1の旅行ガイドブック・ロンリープラネット
オーストラリア・メルボルンに本社を構えるロンリープラネット社が発行する同名の旅行ガイドブックは英語による旅行ガイドブックの世界シェアの25%を占め、非常に強い影響力を持っています。 ロンリープラネットは毎年7月に「BEST IN ASIA PACIFIC」と題したランキングを発表していますが、2019年の旬な目的地ランキングで四国が第2位にランクインしました。 2019年の旬な目的地10選は以下の通りです。
1位:マーガレットリバーと西オーストラリア州南部
2位:四国
3位:ニュージーランドのアイランズ湾と北島
4位:シンガポール
5位:クック諸島
6位:ベトナム中部
7位:フィジー
8位:パラワン島(フィリピン)
9位:北京(中国)
10位:カンボジア
四国が旬、という結果に日本人としては多少の違和感がありますが、なぜ2位に選ばれたのかを確認してみましょう。
瀬戸内海、道後温泉、自然を中心に資源が豊富な四国
ロンリープラネットの公式サイトでは、四国の評価ポイントが掲載されています。 観光資源として挙げられているのは下記のような点です。
・四国八十八箇所の四国遍路
・直島(香川県)
・祖谷渓谷(徳島県)
・鳴門の渦潮(徳島県)
・高知城(高知県)
・ひろめ市場(高知県)
・道後温泉(愛媛県)
・神道の総本山(愛媛県)
これらの美しい景観の他、瀬戸内国際芸術祭についても四国の魅力の一つとして同サイトは紹介しています。
ターゲットに刺さるプロモーションがみを結ぶ
しかし、このような評価はしっかりとしたプロモーションの成果であることにも目を向ける必要があります。 祖谷渓谷は人口約2,300人の祖谷地区にあり、アクセスも良くありませんが、自然や茅ぶき屋根の民家などを観光資源とし、自然に触れることが少ない香港の富裕層をターゲットに設定したプロモーションを実施、インバウンド受け入れのための古民家ゲストハウスの整備などを進めるとともにバス停留所の多言語対応などを行っています。 このようなインバウンド誘致活動が海外での四国の知名度向上と今回のランキングに反映されていることは言うまでもありません。
海外メディアが「SHIKOKU」を紹介
このほかにもイギリスの有力紙・ガーディアンは2018年11月の記事で瀬戸内海を望む浜辺の幻想的な写真を掲載、香川県三豊市の父母ケ浜海岸はSNS経由で世界中に知られる存在となり、多くのインバウンドがわざわざ訪れています。 今後はリピーターの獲得によるコンスタントなインバウンド誘致とさらなる認知度の向上が求められます。
まとめ
ロンリープラネットの2016年のBest in Asiaランキングでは1位に北海道が選ばれている他、2017年には同じランキングで長崎が選ばれています。 広島同様に元々世界的に知名度が高いことに加え、2018年7月に世界文化遺産に登録されたことからもインバウンド誘致の期待が寄せられてましたが、航空路線の少なさやクルーズ船の入港減少等の影響で伸び悩んでいると言われています。 ポテンシャルがあるとは言いにくい四国の今回の評価が今後どのようにインバウンド集客を伸ばしていくのか、今後の動向に注目したいところです。