ここ数年右肩あがりに増加を続けるインバウンドですが、JNTO(日本政府観光局)の発表では
2019年上半期のインバウンド数は1,663万3,600人(対前年比4.6%増)と、上半期では過去最高を記録しています。
傾向としては地方を訪れるインバウンドが増加しているということがあります。
今回はJNTOのデータから地方を訪れるインバウンドについて考えてみましょう。
5年間で宿泊者の増加した割合が大きい都道府県は?
JINTO(日本政府観光局)が発表した2013年と2018年の外国人宿泊者の増加割合に関するデータを見ると、下記のようになります。
1位:佐賀県 6.75倍
過去5年間で最も増加したのが佐賀県で、6.5倍に増加しています。 要因としてはLCCの就航、タイの映画ロケの誘致成功などが挙げられますが、タイは2019年4~6月の1人当たり旅行支出が前年比で18.7%も増加、消費額全体でも22.4%増と大きな伸びを示しており、有望なマーケットと言えます。
2位:青森県 6.07倍
青森県も佐賀に迫る6.07倍の伸びを示しています。 台湾からの観光客が多いという特徴がありますが、台湾はリンゴの輸出先であることもあり、青森県の認知度が高いという背景があります。
3位:香川県 5.5倍
3位の香川県も5.5倍と大きく増加しています。 過去記事でも四国が2019年旬の訪問地ランキングの2位になった「【ロンリープラネット】なぜ四国はアジア2位になったのか?」を取り上げましたが、 2010年から開催されている瀬戸内国際芸術祭や美術館が点在する瀬戸内海の直島など、人気を集める観光資源の存在は見逃せませんが、同時に主に香港の富裕層をターゲットとしたプロモーション活動など、人気の裏付けとなるアクションがあったことは見逃せません。
4位:岡山県 5.41倍
4位の岡山県は5.41倍でした。LCCが岡山空港に就航したことによって台湾から中国・四国地方に向かう旅行者が増加したことが大きく影響していると考えられます。
楽天トラベルのランキングと比較した場合
旅行予約サービス「楽天トラベル」が発表したデータについて、過去記事で触れていますが、楽天トラベルの外国語サイトを経由した人泊数を元にした2018年の訪日旅行人気上昇都道府県ランキングは下記のようになっていました。
1位:鳥取県
2位:福島県
3位:岩手県
4位:新潟県
5位:山形県
共通しているのはLCCを含めたアクセスの確保に加えてプロモーションをしっかり行っている、という点のようで、これはJNTOのデータとも一致を見ることができます。 また、地元の観光資源を上手く活かし、ターゲットを絞ったプロモーション展開をしているという点も参考になるのではないでしょうか?
まとめ
インバウンド誘致による地方創生は、今後人口の減少が確定している日本において非常に重要度の高いミッションです。 今回はJNTOのランキングと楽天トラベルのランキングというソースが違うランキングを見てみたわけですが、 ソースが違うため結果は当然違いますが、それぞれの背景や傾向は似ている部分が多いようです。 また、わかりやすい観光資源がなくても自治体や地場企業がしっかりと協力することで結果に結びつけることができる、という事例と取ることもできます。 インバウンド誘致に悩んでいる、という方はこのような地方の事例を参考にしてみてはいかがでしょうか?