日本版DMOのビジネスモデルとインバウンド誘致のポイントは?

2018年は多くの災害が日本を襲い、各地に甚大な被害をもたらしました。そんな中、国土交通省が発表した2018年度の補正予算のうち、5億7000万円が訪日外国人観光客が安心して旅行できる環境を確保するために利用されます。
増加を続けるインバウンドの受け入れとしてDMOが注目されるようになってから時間が経過しましたが、観光庁が行ったDMOに関する討論会から3法人のビジネスモデルを見ていきましょう。

日本版DMOのビジネスモデルを3事例から検討

観光庁が行っている「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」ですが、昨年12月13日に第3回会合が開催されました。
テーマは「DMOが実現を目指すビジネスモデル・地域の経済循環・来訪者の経験価値の向上」とされ、有識者による日本版DMO登録制度に登録している3法人からのヒアリングを中心に会合は進められました。

①田辺市熊野ツーリズムビューロー

2006年4月に発足、10年5月に一般社団法人化した和歌山県・田辺市熊野ツーリズムビューローは欧米豪をターゲットとしてプロモーションを実施、受け入れ態勢の整備を進めています。
観光資源として世界遺産登録された熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」があり、着地型旅行事業の売上高は11年度の約4千万円から17年度の約3億6400万円と右肩上がりに増加、18年度の4億円を超える見込みとなっています。
現在は田辺市から年間3000万円で委託されている観光プロモーション費用が減額されると事業として成立が難しくなるという点で、安定した財源の確保が求められるといい、観光消費による地域経済の循環を促進する等の課題があるとしています。

②信州いいやま観光局

信州いいやま観光局は一般社団法人で地域連携DMOとして長野県、新潟県にまたがる9市町村を区域としています。
年間予算の約6億2千万円のうち、観光施設などの売り上げを中心とする事業収入が全体の約8割を占め、残りは自治体からの委託料や補助金などになっています。
9市町村のインバウンドの延べ宿泊者数は12年度の約5万6千人泊から17年度には約23万3千人泊と4倍以上に増加しています。
同局の柴田氏はインバウンドの消費額は高いが、どう伸ばすかという点や海外エージェントからランドオペレーター機能を求められているが人材確保が必要となる点等が課題として挙げられました。

③長崎国際観光コンベンション協会

長崎市を対象区域とする地域DMO、長崎国際観光コンベンション協会は18年度の予算、約6億8千万円のうち約6割に当たる約4億円を事業収入が占めています。
事業収入の内訳は観光施設の売店や企画商品などの売り上げとなっており、売店収入約2億2千万円は市内の業者からの商品調達を重視する等、地域経済の循環を意識しています。
DMOとして自ら稼ぐことを重視する一方、事業者支援やストレスフリーの環境づくりという視点も必要としており、名産品であるそぎ茶を活かした商品の海外むけプロモーションや夜間観光コンテンツの開発他、精力的な動きをしています。

まとめ

今回紹介した3つのDMO法人のビジネスモデルに共通しているのは観光資源の開発とプロモーションをしっかりとしているという点です。それぞれに世界遺産登録や北陸新幹線の開通等、きっかけとなる出来事があったものの、それを逃さずに好機としている行動力と実践力が生んだ結果ではないでしょうか?
また、課題としても将来に渡る継続的な事業のために事業収入を確保するという点が挙げられています。
自治体からの委託金事業や補助金に依存しない事業運営のために地元経済を循環させる、というアプローチも共通したものがありました。
地方へのインバウンド誘致を検討するにあたり、大いに参考になる事例ではないでしょうか?