年々増加を続ける外国人観光客ですが、観光客増だけではなくインバウンド消費も話題に登るようになっています。
そんな中、中国人の越境ECでの購入額が増加傾向にあり、大きなマーケットとなっています。
今回はバイドゥが行ったアンケートを元に中国人消費者に向けた越境ECサイトの今後の展望を見ていきます。
中国人の越境EC利用、海外旅行がきっかけ
中国最大手のポータルサイト・バイドゥの調査によると、越境EC利用のきっかけのトップは「周囲からのすすめ」ですが、海外旅行がきっかけという人も全体の20%を占めるという結果でした。 中でも日本の商品の購入率が高いエリアとして北京、上海、天津が挙げられています。 このアンケートの対象は北京、上海等に住む中国人2,000人を対象として行われています。
越境EC購入額は増加中
海外から個人輸入扱いで商品を購入するいわゆる越境ECは中国人からの購入額が増加傾向にあります。 経済産業省の2018年4月の発表によると、中国人消費者による日本のEC事業者からの越境EC購入額は前年比で125.2%と増加しています。 購入額で見ると1兆2978億円と大きな金額となっています。これはインバウンド消費の2020年の政府目標である8兆円の15%強となる数字であり、インバウンド消費としてはカウントされないものの企業にとっては無視できないものであることは間違いありません。 今回のアンケートが示す越境ECのきっかけの20%が観光旅行という結果に従うとすれば、訪日旅行中の中国人観光客に対してにどのようにして商品をアピールするかがその後の越境ECでの実績に直結するという見方をすることができます。
日本製品への満足度はバラつきがある
アンケートでは日本製品に対する満足度に関する項目もありますが、日本製品が良かった、という回答は全体では約5割であるのに対し、北京、天津、広東省在住の女性に絞ると6〜7割が満足という回答をしています。 このように満足度は居住地域によってバラつきが認められることから、プロモーションを行う場合にもエリア選択とプロモーションの内容を検討する必要がありそうです。
上海は口コミ重視
越境ECを始めたきっかけとして最も多い回答は周囲から勧められたことですが、特に上海ではこの傾向が強く、口コミやSNS上での評価も重視されています。 その他、広東省、北京、天津は平均値を上回っていることから、このエリアでプロモーションを行う上でインフルエンサーの起用やSNSの活用を視野に入れるべきでしょう。
新EC法の施行で転売から越境ECへ購買チャネルが移行?
中国では海外製品を転売するビジネスが大きなマーケットとして機能していましたが、2019年1月に施行された新EC法により転売ビジネスに罰則が課せられるようになりました。 結果としてこれまで転売業者から日本の商品を購入していた消費者が越境ECサイトに流れる、という流れが予想されます。 そうなった場合、メーカーとしては越境ECサイトで自社商品が取り扱われていることがまず前提条件になりますし、その上で自社製品のプロモーションをしっかりと行い、消費者に認知される必要が出てくるわけです。 転売ビジネスが成立していた時は転売業者と消費者の繋がりは口コミそのものであるため、消費者は転売業者の取り扱う商品をそのまま購入する、という構図だったため、メーカーがプロモーションを行わなくとも売れている、というケースが多々あったはずですが、今後はメーカーがそのような口コミを自社で発生させる必要がありそうです。
まとめ
越境ECの利用のきっかけが旅行だとした場合、訪日中国人観光客の多くは訪日前にあらかじめ購入する商品を決めていることが多いため、訪日以前に商品を認知させ、買い物リストに入っていることが重要になります。 越境ECで結果を出すためには訪日前の買い物リスト入りするためのプロモーションと帰国後に越境ECサイトでリピート購入してもらうためのプロモーションを連動させる必要がありそうですね。