インバウンドの旅行が団体によるゴールデンルートが中心だったのも今は昔、訪日旅行のFIT(個人)化が進み、ニーズも多様化しています。
それに伴い旅行商品も以前は旅行会社が企画・販売する発地型が多かったのですが、着地型旅行商品も増加しています。今回はJTBのデータから着地型旅行商品の国別ニーズ等を見ていきましょう。
インバウンドを知るための主要な統計
訪日外国人数やインバウンド市場の動向について知ることのできる主要統計には観光庁が4半期毎に出している「訪日外国人消費動向調査」やJNTOが毎月まとめている「日本の観光統計データ」などがありますが、今回参照するのはJTBが年に一度発表している『JTB訪日旅行重点15カ国調査』です。 2015年より実施されているこの調査ですが、訪日外国人の上位国となる 15カ国を対象に(韓国、台湾、香港、中国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、オーストラリア)インターネットを経由して60の設問に回答してもらうというものです。 特徴として旅先を選ぶ意思決定の過程や情報収集といった良好前の行動や滞在先での交通、飲食、娯楽などのいわゆる『旅ナカ』の行動にフォーカスしているという点が挙げられます。
着地型旅行商品の利用率が最も高いのはベトナム
では、さっそくランキングを見ていきましょう。
着地型旅行の利用率は国によって差があることが分かりますが、1位のベトナムから5位のタイまでは90%以上が着地型旅行を利用している反面、最下位の韓国では65.5%となっています。 また、FIT(個人)型旅行者の割合が高い国や地域ほど着地型旅行の利用率が低く、FIT型旅行者の割合が低い国や地域は着地型旅行の利用率が高いという傾向が見られます。
着地型旅行の商品種類別利用率は?
では、商品種類別の着地型旅行利用率を見てみます。
東アジアはテーマパークが人気
台湾・韓国・中国・香港の4カ国・地域で最も利用されている着地型旅行商品はテーマパーク入場で、全体の約4割を占めています。
東南アジアでは空港市内間の送迎が2位
タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・ベトナム・フィリピンの6か国でも テーマパーク入場が1位となっていますが、2位には空港市内間送迎が入っており、こちらも32.2%と高い利用率を示しています。
欧米豪のトップは伝統文化体験
アメリカ・オーストラリア・イギリス・フランス・ドイツで同じランキングを見てみると、伝統文化体験が25.9%で1位、空港市内間送迎の23.9%、市内観光(半日)が21.3%で2、3位となっています。
まとめ
最大公約数的な商品になりがちな発地型旅行商品と違い、地元に精通した人たちが知恵や工夫をこらして出来上がる着地型旅行商品は旅行者それぞれがニーズに合わせて好みのサービスや体験を組み合わせることが出来るため、より深い訪日体験を楽しむことが出来る他、地域活性化につながるというメリットもあります。 しかし、国や地域によって着地型商品に求められているものには違いがありますので、インバウンド誘致を検討している地域は対象国の事情や嗜好を考慮した上で着地型商品の開発を行うことでより的確な誘致活動に繋げることができますね。