今年のラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピックとビッグイベントが続く日本ですが、ここ数年過去最高を更新し続けているインバウンド数も更に増加が見込まれます。
そんな中、日本を訪れたインバウンドはどのような印象を持ったのでしょうか?今回は東北エリアを訪問したことのあるインバウンドを対象とした意向調査を見てみましょう。
12カ国の海外旅行経験者が調査対象
今回参照するのは株式会社日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が共同行った「2019訪日外国人旅行者の意向調査」を元にした「2019東北インバウンド意向調査(速報版)」という調査レポートです。 調査対象となるのは韓国、中国、台湾、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスの合計12カ国(地域)の20歳~59歳の海外旅行経験者で、サンプル数は約6000人。 アンケートは6月から7月にかけてインターネットを介して行われています。
訪日リピーターが多い東北エリア
調査から明らかになっているのは東北を訪問したことがあるインバウンドの多くが訪日が2回目、3回目となるリピーターだということで、80.2%が訪日が2回目以上、そのうち33.8%が6回以上の訪日経験があるという回答でした。 初めての訪日は東京、京都、大坂などいわゆるゴールデンルートで、2、3回と訪日するうちに地方へ足を延ばしたくなる、という傾向があるようですね。
東北エリアの観光資源には満足?
東北エリアと言えば日本三景に数えられる松島をはじめ、自然の景観等が観光資源という印象ですが、観光資源についての満足度については下記のようになっています。
鑑賞が中心となる観光資源に対する満足度は全国平均よりも東北エリアは8~10%程高い数値になったことから、景観が観光資源として評価されていることがわかります。 しかし美術館、博物館等の説明充実度については全国平均で不満度が4.3%なのに対し、東北訪問経験者は8.1%とより不満を持っていたことが分かります。 この傾向は日本文化の体験や伝統工芸品の工房見学などでも見られることから、説明を必要とする観光資源については見せ方、説明の加え方に改善の余地があるのかもしれません。
2020年、東北エリアを訪問したいという回答は18%
2020年に東京オリンピック・パラリンピックの観戦で訪日する際、地方へ足を延ばしたいという回答は9割以上と高い数値を示していましたが、具体的な行先としては北海道(44.2%)、関西(40.5%)が上がった他、東北は18%が行先として挙げていました。 このように地方へ訪問してみたい、という意欲はかなり高いことを鑑みると、東北エリアの認知度を上げるプロモーションを適切に行うなどすることで現状18%という数値をさらに上げることが出来るのではないでしょうか?
まとめ
東北エリアの観光資源を見た場合、自然の景観が中心になっていると考えられますが、特に冬の間はスキーやスノーボード等のウインタースポーツは関西、九州などと比較してアピールしやすいと思われますし、この点はインバウンドにもある程度認知されているのではないでしょうか? しかしそれ以外の季節の見どころについてはまだまだ認知度が足りないように思いますので、季節ごとの楽しみ方、グルメ情報など、東北の魅力を通年通して伝えることでより多くのインバウンドの誘致ができるように思います。