国内でも感染者が増加している新型肺炎ですが、観光業は大きな影響を受けています。
国別インバウンド数1位の中国政府が出国制限を行ったこともあり、今年の春節商戦は寂しい結果となっています。
インバウンド消費額は自動車部品の輸出額と同規模
ここ数年右肩上がりで増加してきたインバウンド数ですが、2019年のインバウンド消費額は4兆8,113億円で、電子部品や自動車部品の輸出額とほぼ同規模です。 人口減少、高齢化が懸念されている中、成長産業として期待されてきたインバウンド誘致による観光立国化ですが、消費額のうち36.8%を締めているのが中国からのインバウンドによる消費という偏りが問題視されていました。 そんな中、新型コロナウイルスによる各国からの訪日旅行のキャンセルが日本経済に冷水を浴びせる形になっています。
政府は中小企業支援を強化
新型コロナウイルスの終息時期が不透明な中、経済産業省はマイナス影響が見込まれる小規模事業者や中小企業経営者に対して支援策を講じています。 特に観光業に従事している事業者が活用可能な支援策について概要を見てみましょう。
資金繰り支援(貸付・保証)
新型コロナウイルスによって経営の安定に支障が生じている中小企業を対象にした資金繰り支援制度で、売上高の減少率に応じてセーフティネット4号、5号の2種類があります。 また、社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少など業況悪化を来しているものの、中期的には業績が回復し、かつ発展することが見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度としてセーフティネット貸付制度がありますが、2月14日より新型コロナウイルスの影響を踏まえた特例措置として要件が緩和されています。
生産性革命事業・持続化補助金
小規模事業者の販路開拓などのための取り組みを支援する目的の補助金で、補助額は50万円までとなっています。 想定されている活用例として、インバウンド需要の減少を踏まえ、店舗販売の縮小を補うべくインターネット販売を強化する等、ビジネスモデル転換を図るというようなケースや旅館が自動受付機を導入、省人化するというようなケースがあります。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は経済上の理由で事業活動を縮小せざるを得ない事業者が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合、休業手当や賃金等の一部を助成するというものです。 この助成金には新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例措置があり、休業等の初日が令和2年1月24日から7月23日までの場合、適用することができます。 中小企業の場合は助成率が2/3、支給限度日数が年間100日までとなっています。
まとめ
インバウンド誘致による観光産業の活性化は地域経済活性化の重要なチャネルでもあり、特定の国からのインバウンド集客などの課題はありますが、今後も主要な産業となることは間違いありません。 今回紹介した支援策についての詳細はこちらに掲載されています。 新型コロナウイルスの影響が終息するまでの間、このような政府の支援策を活用し、苦しい時期を乗り切りましょう。