この特集にあたって
- 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」
- 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」
この記事はそのような方へ向けて書いています。
第六弾は『ぽんしゅ館』
今回は、利き酒やお土産コーナーなど酒や米をはじめとした新潟の名産品を存分に堪能できる施設「ぽんしゅ館」の方々にお話を伺いました!
具体的には、新潟県内の日本酒を販売する〈日本酒番所〉、漬物や醤油、味噌などの発酵食品やその他お土産物が揃う〈越後魚沼商店〉、お酒と一緒に食事を楽しめる〈魚沼釜蔵〉など数々のスポットを楽しむことができ、新潟を訪れる方はもちろん、地元の方々にも愛されています。
詳しくはぽんしゅ館さんのHPと本記事をご参照ください。
ぽんしゅ館さんのHPはこちら↓
新潟の魅力を全力で発信しているぽんしゅ館さんに、コロナ禍での状況や取り組みについてお聞きしました!
プロフィール
株式会社レルヒ
ぽんしゅ館館長 能田拓也
創造企画室 室長 八木和也、阿部祐次、須長佑一
ぽんしゅ館さんについて
-ぽんしゅ館さんではどのようなところですか?
ぽんしゅ館は越後湯沢の駅から始まりました。元々は普通の観光物産業やそこで培った企画力を活かした他社のサポートをやっていたのですが、1995年に越後湯沢の中で何かやらないかとお声がけいただき、「新潟」を発信できる場を作ろうと生まれたのがぽんしゅ館です。
最初に注目されたのは、県内の酒造全てのお酒が飲める「利き酒マシーン」です。新潟で売れるものって何だろうと考えたときに、やはりお酒やお米になりますので、まずは県内のお酒を全部1カ所で試飲できますよというところからスタートしております。
その後、「新潟」を表現したローカルな商品も取り扱うようになり、併せて1合分のおにぎりを本物の南魚沼産コシヒカリで食べてもらうという「爆弾おにぎり」を販売することになりました。
そして、2018年の新潟駅の再開発にあわせて、新潟(特に南魚沼産)のお米やお菓子を購入できる「ぽんしゅ館コンプレックス」、新潟の職人さんが作った道具がそろえてある「ぽんしゅ館クラフトマンシップ」をオープンさせました。
このようなかたちで、ありとあらゆる「新潟」の魅力を感じていただける場所になっております。
-ぽんしゅ館さんといったら、やはり100種類以上の日本酒を試飲できる「利き酒マシーン」が有名ですが、どのようにして実現したのですか?
ぽんしゅ館を越後湯沢で始める時、お酒の業界でそういうことをしているところがあまりありませんでした。何せ管理が難しく、一度開けるとどんどん品質が落ちていってしまうんです。酒造組合さんからも、そんな機械で管理できるわけがないと言われていました。
しかし、お客様に楽しんでいただきたいという想いのもと、清潔感を保ちつつお酒の品質を安定させる方法を突き詰めた結果、現在のマシーンを使った自動販売機スタイルが生まれました。
今でも改良の余地っていうのは都度出てきますので、まだまだ未完成かなとも感じています。
コロナによる影響について
-コロナによる影響はどのように現れましたか?
最初の緊急事態宣言の時は、4月5月と2ヶ月の間休業しましたね。
それ以前も、お店が新幹線の改札の真ん前にあるんですけど、向こう側まで全部見通せるぐらいお客様がいない状態が続きました。
その後、11月末ぐらいまではGoToの影響もありまして、前年の数字、コロナ前の数字っていうものが見えてきました。
しかし、年明け以降は二回目の緊急事態宣言が発令されたこともあり、完全に前に戻った。それこそ去年の3月辺りの雰囲気に戻ってきているのが現状ですね。
ただ、我々も感染対策といった、お客様に安心しておいでいただけるような環境づくりを、少しずつではありますが重ねております。
あとは本当にワクチンが出回って、誰も何も心配なく出かけられるようになると一番いいんだよなあというのが実感ではあります。
-コロナ禍で家にいることが多くなったことで、巣ごもり需要で日本酒の売り上げが伸びているのではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。
どうでしょうね。通販の方で打ち出しているものに関しましても、ご自身でお召し上がりになるためというよりは、どなたかに差し上げる贈り物として購入する方が印象としては多いのかなというふうに感じています。
―ぽんしゅ館さんは、色々な種類の日本酒を飲んでみて、おいしかったものを買って帰れるのも魅力の一つでしたので、それがコロナで難しくなるのは惜しいですね。
そうですね。今まで我々はいわゆる「経験価値」という部分を販売してきた、商品として提供してきましたので、お店にご来店いただけないとなるとなかなか厳しいところではあります。今後はそれをどう補っていくかが大事だと考えております。
ぽんしゅ館さんのコロナ禍での取り組みとこれから
-先行きが不透明な状況が続いていますが、コロナ禍ではじめた取り組みはありますか?
本格的にECサイトでの商品の販売をはじめました。
それによって、商品がオンラインでも販売できるほか、お客様情報の収集ができるようになり、マーケティング戦略を考えるきっかけにもなりました。
例えば、実際に情報を収集してみて、意外に20代後半から30代後半の女性がお酒を買う傾向が強いことがわかりました。また、男性は贈答用に、女性は自分用にお酒を買う傾向があることにも気がつきました。
こういう傾向が今回データを収集してみて目に見える形でわかったことは我々としても大きかったです。これからの取り組みとしては、若い層、女性メインのターゲット設定など、未来の顧客創造に向けて、より絞り込んだ動きを仕掛けていきたいと思っています。
ぽんしゅ館さんのECサイトはこちらです↓
ぽんしゅ館オンラインショップ (ponshukan.com)
-コロナ禍で見えてきた気づきや発見などはありますか?
こんなにもお客様に支えられていたのかと、人の移動がなくなってより実感しました。
だからこそ、うちにご来店いただくお客様が、我々に感じてくださる価値を今まで以上に考え、お店を出て行かれるまでに提供できるものをより深めていくことが重要だと思うようになりました。
今までと同じことをやっていてもお客様は戻ってきてくださらないと思うので、ぽんしゅ館にきたくなるような情報をSNSで発信し、オンライン販売でマーケティングデータを収集し戦略を練るなど全社あげて取り組んでいきます。
-今回お話を伺って、ぽんしゅ館さんから新潟の魅力をどんどん発信していきたいという意気込みを感じました。今後どのようなかたちで新潟の魅力をお客様に伝えていきたいですか?
我が社のコンセプトに「越後魚沼のドラマを食で語る」というものがあります。
お酒に限らずどんな商品にも絶対背景っていうものがあって、その背景には生産者さんの想いなどといった、それぞれの物語がきっとあるはずだと。
そこにしっかり我々がスポットを当てて、生産者さんの代わりに我々がお客様にお伝えするというのが、取りも直さず新潟の魅力を我々が伝えていくということになるんじゃないかなと思っております。
ぽんしゅ館さんでは、店内に新潟の日本酒に関する看板が沢山あり、スタッフさんも味や産地の特徴などについて丁寧に教えてくれます。
また、HPにも各酒蔵さんの特徴・ストーリーが載っているので是非確認してみて下さい!
中井の一言コメント
今回インタビューを通して、コロナ禍における観光物産業の在庫を捌く難しさ、コロナ禍だからこそ変化を恐れず新しい取り組みを行う姿勢の重要さを学ぶことができました。
また、ぽんしゅ館さんをハブとした新潟の魅力発信は、ECやSNSを通じてさらに広まっていくと感じました。
ぽんしゅ館の皆様、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!