年々増加している訪日外国人数ですが、多言語対応等とともに課題として頻繁に挙げられているのがキャッシュレス決済への対応です。
クレジットカードが一般的な欧米やQRコードでの決済がもはや主流となった中国からの訪日客から見た場合、現金での決済がまだまだ主流の日本は利便性が高いとは言い難いものがあります。
今回はキャッシュレス後進国の日本の現状について見ていきます。
QRコードを利用した決済が過熱中
アリペイ加盟店舗数30万件突破
QRコードを利用したモバイル決済は2018年に国内各社が普及を狙い、様々なキャンペーンを実施したことが記憶に新しいですが、この分野で先行する中国でシェアを二分しているアリペイの日本における加盟店舗数は2019年年初の時点で30万を突破し、2018年8月の5万件から大きな伸びを見せています。 背景には中国人観光客がインバウンド全体の4割という大きな割合を占めていることもあり、その購買力をアリペイに加盟することで取り込みたいという加盟店側の思惑があることが伺えます。
ゴールデンウィークの取引額25%増
実際に2019年のゴールデンウィーク期間中のアリペイの取引件数を国別に見ると日本は韓国の3位に次ぐ4位となっているほか、1人あたりの取引金額も前年同月比で25%の増となっていることから、その成果が出ていることがわかります。 両替をすることなく自国と同様の手間だけで買い物ができるという点は訪日旅行における課題の一つでもある決済手段の問題の解決にもつながり、利便性が大きく向上すると言えます。
政府もキャッシュレスを後押し
キャッシュレス化がなかなか進まない日本ですが、政府もキャッシュレス化推進を目指してテコ入れをおこなっています。 2019年6月には経済産業省、中小企業庁が日本能率協会とともに全国8カ所で「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」を開催し、消費税軽減税率制度への対応やキャッシュレス化を進めることでクレジットカードや電子決済等での決済が多い訪日外国人観光客の購買意欲を阻害せず、機会損失を防ぎたいという意向です。 2019年度予算でキャッシュレス・消費者還元事業が成立しており、消費者、加盟店、決済事業者それぞれがメリットを得られるようなサポートを実施することになっています。
まとめ
今回取り上げたアリペイは中国だけではなく、中国人向けのオフライン決済サービスを50カ国以上の国・地域で提供しており、パートナー企業も含めたアクティブユーザー数は10億人以上というスケールの大きなサービスを行っており、中国では単なる決済サービスではなく様々なオンライン・オフラインのサービスを跨いだプラットフォームとなっており、同様の仕組みが日本でも利用できるということは2018年には838万人にも上った訪日中国人の利便性向上だけではなく、多くの訪日外国人の決済問題の解決にも繋がります。 政府の後押しもある今、キャッシュレス決済をまだ導入していないが検討している、という場合は今が最適のタイミングではないでしょうか?