国立公園を世界に通じるブランドとして育て、訪日外国人利用者数を2020年までに1000万人を目標として2016年からスタートした「国立公園満喫プロジェクト」ですが、2018年の国立公園の訪日外国人利用者数は約694万人という推計結果が環境庁から発表されました。
前年比15.7%増はインバウンド全体の伸び率を上回る
国内の国立公園は34カ所にありますが、全体の伸び率は15.7%となり、2016年にプロジェクトが始まって以来最大の伸びを示しています。 これはインバウンド全体の伸び率、8.7%増を上回っていますが、プロジェクトの開始から2年しか経過していないということもあり、プロジェクトの成果として捉えることができるかどうかはもう少し時間が必要になりそうです。
アンケート結果について
また、同プロジェクトでは先行8公園を対象として(阿寒摩周、十和田八幡平、日光、伊勢志摩、大山隠岐、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、慶良間諸島)とそれに準ずる3公園(支笏洞爺、中部山岳、富士箱根伊豆)において満足度、旅行消費額、宿泊日数等についてのアンケート調査を実施しました。
満足した点
インバウンドが挙げた満足内容は下記のようなものが多く見られ、調査対象となった11公園で共通していました。
・自然景観、環境
・スタッフ、住民のおもてなし
中でも自然景観、環境についてはコメントが多く見られ、海や山といった風景に関する評価の声が多く寄せられています。 その他に満足度が高いとされた点には等に下記のようなコメントが挙げられています。
・交通ダイヤのタイムリーな情報提供(慶良間諸島)
・VCの展示内容(支笏洞爺、十和田八幡平、霧島錦江湾)
・美味しい食事(中部山岳)
改善が必要な点
改善点として挙げられた点についても併せて見ていきましょう。 調査対象の11公園全てにおいて改善点として共通して挙げられたのが下記の2つです。
・交通アクセス
・外国語対応
交通アクセスについては、バスをはじめとした公共交通の頻度、分かりにくさについて多くの意見が挙げられました。 外国語対応については、スタッフの外国語対応という意見が多く、中国・韓国語圏からの回答でも英語対応のレベル向上が必要、という声が挙がっています。 その他の改善点として、以下のような意見が寄せられています。
・食事(施設数・営業時間、ベジタリアン対応 等)
・案内・標識(分かりづらい、多言語対応 等)
・通信環境(WiFi環境 等)
これらは国立公園に限ったことではなくインバウンド対策として常々挙げられている課題でもあり、プロジェクトの推進にはこれらの改善点を含めてインバウンドに対する利便性向上が急務になります。
まとめ
国立公園満喫プロジェクトについては過去記事で取り上げていますが、それぞれの公園の取組みがある程度進行した結果、今回の調査結果なのかどうかは伺い知れません。 しかし、同じアンケートへの日本人からの回答にも交通アクセスに関するわかりにくさや不満を上げるものがあることから、インバウンドだけを対象とした対策ではなく、もっと根本的な対策が要求されているように思えます。