インバウンド増、というとビジネス的な切り口で物事を捉えがちですが、異文化交流という得難い機会であることを忘れてはいけません。
今回はインバウンド対応に積極的に参加する学生の姿を見ていきます。
①伝統工芸をインバウンド対策に
コト消費がインバウンドに注目される中、兵庫県立但馬農業高・生活科園芸デザインコースの3年生3人が豊岡市の極楽寺で伝統工芸・麦わら細工をインバウンドに指導し、交流を行いました。 この麦わら細工の体験教室は企画、「課題研究」で習う麦わら細工をインバウンド対策に活用しようと、無料で行うことにしました。 英語で案内用のチラシを作り、町内の観光案内所や旅館に置いてもらうなど、言語対応や告知を行う過程で海外との積極的な交流が育まれ、また地元にとってもあらたな観光資源のアイディアが生まれました。
②おもてなし文化を学び、インバウンド対策を考える
日本有数の温泉地である群馬県には多くのインバウンドが訪れますが、群馬大学ほか、県内10の大学と高等専門学校は7月8日に観光や訪日外国人客をテーマにした講義を開きました。 地場産業と密接に関わるテーマを通して将来のキャリア形成に役立たせて欲しい、という意図で開講された講義は活発な意見交換が行われ、おもてなし文化の継承の仕組みやインバウンドに対して温泉を楽しんでもらうための方法など、多くの質問が寄せられました。
③ピクトグラム作成を通して多言語対応
インバウンド対応といえば多言語対応が求められますが、ビジュアルで直感的に機能や意味を伝える働きをするのがピクトグラムです。 来年に控える東京オリンピックですが、野球・ソフトボールの一部競技が行われる福島市・あずま球場では近くの施設等を紹介するためのピクトグラムを市内の福西高生徒が制作をしています。 7月5日、同校デザイン科学科ビジュアルデザインコースの生徒たちはそれぞれに作成したピクトグラムの意図、狙い等を説明する1次評価の会議が行われましたが、評価を経て改めてデザインが進められ、最終的には既設の案内版をリニューアルすることになっています。
まとめ
人口の減少が進み、国内消費額の減少が予想される日本において、インバウンド誘致による観光立国化は一つの将来像ですが、主な担い手となるのはやはり若い力です。 今回紹介した3つの事例はいずれも学生たちがインバウンド対応に積極的に関与していますが、これらの活動を通して得た学びは自主性を持って取り組まれたものだけにより強い知恵や力となるのではないでしょうか? また、過去記事では留学生の協力を得てのインバウンド対応、という事例も紹介していますが、海外からのインバウンド誘致だけでなく、既に地域に在住している外国人の協力を得るなど、異文化交流のきっかけは既に存在しています。 大人たちはきっかけを用意することで学生たちの積極的な参加や地元での交流を促すというのも重要な役割と言えるのではないでしょうか?