地方はインバウンド誘致によって経済の活性化や関連事業分野での雇用拡大などを目指していますが、2018年にそれぞれの地域がどのような取り組みを行ったのか、確認してみましょう。関東、近畿地方以外の8地域について観光白書から主な取り組みを抜粋しています。
北海道
・スマートフォン決済(アリペイ、ウィーチャットペイ)の導入
北海道を訪れる外国人延べ宿泊者数のうち、約 25%が中国人旅行者ということから、アリペイ、ウィーチャットペイ等のスマートフォン決済を①観光地、②乗合バス、③医療機関で導入する実証実験を実施し、利便性の向上を目指しています。
東北
・東北ファンの獲得に向けた新たな魅力の発信
東北各地との直行便が就航している台湾の学校教育関係者を招請、震災遺構の視察、農家民泊、学校交流等を実施、教育旅行についての意見交換会等を通して新たな魅力の発信を行いました。
北陸信越
・アドベンチャートラベルによるインバウンド需要の拡大
北海道でも積極的な取り組みを見せているアドベンチャートラベル(AT)ですが、長野県及び新潟県も通年型の観光地を目指し、トレッキングやサイクリングを中心としたアドベンチャートラベル(AT)のグリーン期への拡大を推進しています。
中部
・中部の観光は元気です!」発信プロジェクト
2018年7月の豪雨後、飛騨地域では高速バス等の交通アクセスも確保できており、通常どおり観光を楽しめる状況でしたが、JR高山線及び長良川鉄道の一部運休等を背景に観光客の減少が見受けられました。 そこで観光客の回復を加速するため、「中部の観光は元気です!」を発信するプロジェクトを開始し、訪日外国人旅行者・日本人旅行者へ3か国語での情報発信を行い、風評被害の払拭を図りました。
中国
・米子の街に灯りをともすプロジェクト
「米子の街に灯りをともすプロジェクト」は米子空港の国際線拡大に伴い増加中の米子駅周辺に宿泊する訪日外国人旅行者に、周遊アプリを使った地元グルメや特典サービス等の情報を多言語で提供、利便性の向上を図るとともに消費拡大を促そうとする取組です。
四国
・四国八十八景プロジェクト
四国八十八景プロジェクトは2015年からスタート、四国らしい風景や街並み等を四国八十八景として選定、その魅力を周知していくというもので、2015年から 2017年までに2回の募集を行い、2018年6月に観光列車を含む八十八 箇所を絶景の聖地として四国八十八景に選定しました。
九州
・ラグビーW杯を契機とした欧米豪からの誘客促進に向けた九州運輸局の取組
2019年に開催されるラグビーワールドカップ日本大会を機会としてより多くの訪日外国人旅行者が九州を訪問することが見込まれますが、欧米豪への九州の認知度向上を図り、長期滞在が可能となる受入環境を整備するための国際観光シンポジウムを開催、今後の九州観光に対する理解を深めるとともに関係各位の連携強化を行っています。
沖縄
・泡盛の酒蔵における訪日外国人旅行者受入体制整備モデルケース形成事業
沖縄県伝統の泡盛を活用した酒蔵ツーリズムの推進を通し、訪日外国人旅行者の旅行消費額の増加と泡盛の販売量増加を目的とした訪日外国人旅行者受入体制のモデルケース構築についての取組が行われ、酒蔵での多言語対応や接客スキル習得のための講習会などが開催されました。
まとめ
各地方ともに地元の観光資源を活かした形での取り組みを積極的に進めています。また、利便性向上についても多言語対応やスマホ決済などが行われています。 その他、2018年は多くの災害が日本を襲いましたが、災害発生時の外国人向けの情報発信や対応が十分とは言えなかった点を踏まえ、改善や体制構築などの取組も行われています。 いずれもすぐに成果が出る取組ではなく、官民一体となって継続していくことで認知されるものだと思いますので、数年後の成果を目指した長期的な取組となることを期待します。 出典:国道交通省 出典:観光庁