日韓関係がこじれた原因は?
発端となったのは韓国産業通商資源省が7月10日の軍事利用可能な戦略物資の不正輸出、合わせて156件の摘発を認めるとした発表です。 この戦略物資の中に、日本が輸出した兵器の製造にも使われるフッ化水素が含まれていることから、その一部が北朝鮮に密輸された疑いがあるとして日本政府はフッ化ポリイミド、レジスト、エッチングガス(フッ化水素)の3品目についてこれまでの簡略化された輸出手続きから契約ごとに輸出を審査、許可する方式に切り替えました。 これらの物質は半導体製造に必要なため、韓国政府やメディアはこれが「徴用工問題の取り扱いに対する日本からの報復」と強い反発を見せています。
訪日韓国人が減少中
このような両国の緊張した状態を反映してか、韓国からの訪日観光客が減少しています。 観光庁が8月21日に発表した情報によると、2019年7月に訪日した外国人旅行者は299万1200人となり、前年同期比5・6%増で単月の人数としては過去最高を記録しています。 しかし、韓国だけを見ると前年同月比7・6%減の56万1700人となり、1月から7月までの累計を見ると前年比20万人ほど減少していることになります。 航空路線の減便・休止や訪日旅行のキャンセルが相次いでいるという報道がある中、国別の訪日外国人観光客数で中国に次いで2位となる韓国からの訪日客減少は無視できない影響力があると懸念されています。 JNTOと韓国側で観光促進などに関する共同広告にこれまで取り組んできたが、7月に予定していた共同広告を延期していたことも分かった。
韓国人観光客が多い福岡市内では?
訪日外国人観光客のうち、韓国人観光客の割合は約3割ですが、距離的に近い福岡について見ると入国する外国人の約半分が韓国人と、インバウンド観光は韓国人への依存度が高いことを伺わせます。 福岡市内のホテルからの声として、韓国人観光客の宿泊が半減したという話もあり、買い物する韓国人観光客の声を耳にすることも減っていることからも今回の件の影響が出ていることが予想されます。
今後の見通しは不透明
現状、日本と韓国、双方の政府は立場を譲っておらず、落としどころも見えていないことから影響はさらに長期化する見通しです。 このような状況を受け、大韓航空やアシアナ航空、エアプサンやティーウェイ航空が9月以降で運休する便を発表しており、福岡や九州だけでなく、日本全国に影響が及ぶことを念頭に入れる必要があります。
まとめ
これまでは日韓の関係性が訪日客に影響することはほとんどなかったわけですが、今回は国民感情への影響が訪日意欲を削ぐ形になっています。 急速に増加しているインバウンド数ですが、内訳を見ると中国が26.9%、韓国が24.1%と突出して多く、依存度が高いことがわかります。 年間8400万人が訪れる観光立国・フランスについて外国人観光客数を国別に見ると1位ドイツが1180万人、2位のイギリスが1180万人、3位のベルギーが930万人と日本ほどの偏りはありません。 現状のような中国、韓国からの観光客に依存するインバウンド増加という構図から脱却するためにも他の国からのインバウンド誘致を積極的に推進し、安定的なインバウンド数の確保が必要とされています。