訪日旅行の空の窓口といえば成田、羽田、関空をはじめとした各地の国際空港ですが、インバウンド増に伴いは4日、開港25年を迎えた。利用客の「低空飛行」が長年続いたが、ここ数年は格安航空会社(LCC)の台頭や訪日外国人急増といった追い風を受け、大きく飛躍。今年度の旅客数は初めて3千万人を超える勢いだ。
関空は初めて旅客数3000万を超える見通し
今年で開港から25年を迎える関西空港の昨年度の旅客は2940万人で、そのうち約半数の1551万人が国際線を利用する外国人というデータから、インバウンドの急増が空港利用者増に繋がっていることがわかります。 空港利用者が最も少なかったのは2009年度の1352万人で、リーマンショックの翌年ということも影響していると考えられています。この時期と比較すると外国人旅客は5倍以上に増加しており、特に中国、韓国人が半数以上を占めるという結果になっています。
LCCの就航がきっかけ
関空は1994年に24時間運用可能なハブ空港として開港し、低迷していた関西経済を復活させる起爆剤の役割を期待されていました。 しかし実際には国内やアジア経済の低迷の影響もあって利用客は伸び悩み、多額の負債が経営を圧迫しました。 潮目が変わったのは2012年、国内で初となる格安航空会社、ピーチ・アビエーションが関空を拠点としたことがきっかけでした。 以降、様々なLCCが就航、LCC専用の第2ターミナルを建設するなど、インバウンド需要の取り込みを積極的に推進した結果が現在の関空に繋がっています。
新規就航や運航再開が続く関空
LCC各社にとっても24時間運用可能な関空は就航しやすいと言えます。 2019年になってからも中国の航空会社が複数の都市を結ぶ路線で運航を開始した他、4月の英国・ロンドン便、米国・シアトル便など、運行が再開された他、8月にはネパール・カトマンズ便が復活しています。 関空は2019年8月時点で26カ国・90都市と結ばれ、航空会社は73社にのぼり、開港以来最高の賑わいを見せています。
インバウンド利用への対応が利便性向上に
このように空港利用者が増加すれば受け入れ態勢の整備が必要となりますが、キャパシティ拡大のために様々な取り組みが行われています。
顔認証による待ち時間の短縮
空港での各種手続きでボトルネックと言われているのが入国手続き、税関検査ですが、この手続きを日本人を対象に顔認証によって自動化することで手の空いた審査官を外国人の審査に割り当てる、という試みは2017年10月から羽田空港で先行運用されていましたが、システムを開発したパナソニックによると2019年度に新たに66セットの採用が決まり、2018年度までの採用分を含めると合計で203セットが運用されることになります。 これまでは日本人旅行者が顔認証の対象でしたが、機能拡充によって訪日外国人の出国審査にも対応するなど、さらに効率化が見込めそうです。
まとめ
今回は関空の事例を取り上げましたが、空港はインバウンドが初めて接触する日本であり、旅の印象を大きく左右する場所でもあります。 スムーズに短時間で入国できるようにしながらも審査を確実に行う必要があり、問題解決に顔認証技術が使われることになりましたが、この技術は空港に限らず様々な場所での応用ができそうです。 空港で起こる問題にフォーカスすることでこれまでにない新しい技術が生まれることになるかもしれませんね。