インバウンドが訪日中に利用する移動手段は鉄道、バス、地下鉄等の公共交通機関が中心でしたが、急激な増加に伴ってレンタカーの利用数も急増しています。
インバウンドのレンタカー利用によって新たに求められる対応について見ていきます。
インバウンドによるレンタカー利用の現状
インバウンドによるレンタカー利用については過去記事(【国の対策】外国人の交通事故に歯止め?訪日客のレンタカー事情)にも取り上げています。 2011年にレンタカーを利用したインバウンドは約18万人でしたが、2015年には約71万とわずか5年間で約4倍に増加しています。 2015年のインバウンド数は1973万人でしたが、その3年後となる2018年には3119万人と3000万人の大台を突破、2020年に4000万人という目標が手の届くところまで来ています。 このような過去の実績から見るとレンタカーを利用するインバウンドは更に増加すると考えて間違いないでしょう。 では、インバウンドがレンタカーを利用することで起こる変化について見てみます。
安く、自由な旅行が可能になる
レンタカーをインバウンドが利用する場合の最大のメリットは地方への送客が容易になるという点です。 東京、大阪のような大都市は公共交通機関網が充実していますが、地方になると2次交通がネックとなり、スムーズに移動が行えない場合があります。 そこでレンタカーでの移動を前提とすると車でなくては行きにくい地方を訪問する旅程が組めるようになります。 受け入れ側から見ても地方送客のネックと考えられる交通機関の問題が解消されるわけで、インバウンド、日本側双方にとってメリットが見込まれます。
自動車事故、交通ルール等に課題
ネガティブな課題として自動車事故の可能性が挙げられます。レンタカー利用者が増加すれば事故も増えることが予想されますが、万が一に備えた保険加入を推進する必要があります。 また日本は右ハンドル、左側通行ですが、国によって交通ルールは違います。交通ルールの違いを外国人ドライバーに理解してもらう工夫も必要になるでしょう。
ECT乗り放題プラン
その様な流れを受けて北海道を除くほとんどの高速道路が乗り放題になる「Japan Expressway Pass」が発売されました。 インバウンドが高速道路を利用する場合、支払いを現金で行うことになりますが、ただでさえ慣れない通貨を使った支払いということもあって利便性が高いとはとても言えない状況です。 しかしETCカードの貸し出しとセットになったこのプランであれば普通車・7日間用で2万円とリーズナブルかつ便利に高速道路を利用することができます。
道の駅の整備が始まる沖縄県
沖縄県は特にインバウンドによるレンタカー利用率が高いことで知られていますが、観光庁の支援の元、「『道の駅』におけるインバウンド対応拠点化モデル事業」が進められています。 この整備計画は宜野座、名護、大宜味、国頭などの道の駅を対象とし、多言語案内標識やWi-Fi無料エリアなどを充実させ、インバウンドへの利便性向上を図るというものですが、沖縄県の事例を全国のモデル事業として推進するという意味合いも含まれています。
まとめ
その他、過去にも取り上げたキャンピングカーを移動手段かつ宿泊施設としてインバウンドが利用する、という活用方法でも買い物、食事、トイレ等「道の駅」の存在はインバウンドにとっても利用価値が高い施設になります。 今回のような設備面での改善はもちろんですが、地域の名産品などの販売も行われている道の駅は情報発信という意味でも魅力的なコンテンツを発信することができる場所として大きな可能性を秘めています。 また、道の駅だけではなく高速道路のサービスエリアなども今回の事例から学び、改革可能な部分が多そうですね。