観光立国化を目指す日本においてインバウンド増の期待を集めているのがIRです。
IRというとカジノを連想する人が多いのではないでしょうか?しかしカジノはIRの一部であって、カジノそのものではありません。では、IRとはどのような施設を差しているのでしょうか?
IRについての基本から今後の展望について、確認していきましょう。
まず、IRとは?
IRとはIntegrated Resortの頭文字を取った略称で、日本語では統合型リゾートと言います。 これはMICE施設(国際会議場・展示施設など)、ホテル、ショッピングモールのような商業施設、レストラン、劇場や映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などの観光施設が一体になった複合観光集客施設を差しています。 IRの中の一つがカジノで、日本では地方自治体が申請し、カジノの併設を認める区域を指定、設置される予定になっています。
最大3か所のIRが2020年代半ばに設立される
2018年7月20日に成立したIR推進法によると国内に最大で3か所のカジノを含むIRを整備することができます。 IR実施区域として手を挙げている大阪府・市による「IR基本構想」では、IRによる売上を年間4800億円と想定していますが、3カ所とも同規模の売上を見込んだ場合、合計で約1兆4400億円の巨大な市場が誕生することになります。 また、経団連の試算ではIR施設1カ所あたりの需要創出効果が年間3千億円、波及効果まで含めた経済効果は6千億円に及ぶとされています。
日本のIRはシンガポールがモデル
IRの成功事例として取り上げられることの多いシンガポールには中心部にあるマリーナ・ベイ・サンズ、郊外のセントーサ島にあるリゾート・ワールド・セントーサという2つのIRが2010年に開業、それまでは1000万人前後だったシンガポールへの観光客数は2018年は1851万人へと急増しています 過去記事でも触れていますが、IRにはシンガポール以外にラスベガス、マカオ等の事例があります。日本は収益のバランスが取れているシンガポールをモデルにすると言われています。
IR=カジノ、と捉えると本質を見誤る
このように大きな経済効果が期待されるIRですが、悪影響として治安の悪化、ギャンブル依存の深刻化、マネーロンダリング等の犯罪行為等が挙げられている他、IRを大規模なパチンコ店、という認識で捉えているケースも見受けられるようです。 IR推進法ではカジノエリアの床面積は、IR施設全体の3%以下となっており、IR施設の97%はカジノ以外のエンターテインメント施設やホテル、飲食店などが占めることになるのを忘れてはいけません。 前述したように観光収入が増えるだけではなく、雇用創出なども含めた巨大な産業が立ち上がろうとしているという点を踏まえてインバウンド誘致を再定義する必要がありそうです。
まとめ
現状ではIRがどこに設置されることになるのか決まっていないこともあり、IRを絡めたインバウンド向けプロモーションをしようとしても出来ない、ということもありますが、IRの設置には巨額の投資が必要となるためメガバンクも準備をスタートしている他、海外で実績のあるIR関連事業者も素早い動きを見せています。 IRを中心とした街づくりには賛否両論ありますが、機会を逃すことのないように注視していくことが必要です。