東京オリンピック・パラリンピックをいよいよ来年に控える中、インバウンドは増加を続けています。
多くのインバウンドを迎え入れるにあたり、様々な課題が挙げられ、それに対しての取組が行われていますが、現状課題解決への取組みはどのような形になっているのでしょうか?
観光庁が行ったアンケート調査によるとコミュニケーションに課題があるようです。
インバウンドが訪日旅行中に困ったことは?
今回の調査は平成30年11月から平成31年の2月に成田国際空港、東京国際空港、関西国際空港、福岡空港にて行われ、旅行中に困ったこと、公共交通機関の利用状況についての状況把握を目的に行われていますが、4037件の回答が得られています。 困ったこととして最も数値が高かったが施設等のスタッフとコミュニケーションが取れない、という回答で20.6%でしたが、平成28年度の同調査では32.9%、平成29年度は26.1%だったことから年々改善していることが分かります。 とはいえ、コミュニケーションが引き続き課題となっていることは間違いありません。 そしてコミュニケーションの問題はどうやらインバウンド業界だけではない様です。
グローバル人材に求められるコミュニケーション能力
ビジネスの世界では世界で活躍できる人材をグローバル人材と位置づけ、その必要性が叫ばれていますが、2015年の経団連のアンケートによるとグローバル経営を阻害する要因としてグローバル人材の育成が海外事業展開のスピードに追いついていないという回答が最も多く一番多く挙げられていました。 政府の定義するグローバル人材は「日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、豊かな語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神等を身に付けてさまざまな分野で活躍できる人材」というものですが、語学力そのものというよりは様々な国の人たちとビジネス上の意思疎通を行うコミュニケーション能力が重要になっています。 日本人同士なら通じる曖昧な表現は外国人にはわかりにくいものです。外国人とのやりとりでは直接的な表現を用いてわかりやすく物事を相手に伝える、というのがコミュニケーションを円滑にするポイントのようですね。
医療の現場で主張しない日本人と面倒くさい外国人
このような「空気を読む」日本人独特のコミュニケーションは医療の現場でも発揮されるようで、ある医師は日本人の患者に治療や検査の選択肢を提示しても積極的に意見や希望を主張する人は少なくないと言います。 しかし外国人の患者の場合、積極的にストレートに自分の意見を主張するのはもちろん、様々な質問をしてきて非常に面倒だと感じる場面が多いそうです。 また、短時間で多くの患者を診察する必要性から最小限のやり取りだけで診察をするため、外国人患者から見るとコミュニケーションに関する不満として捉えられてしまうことがあります。目を見る、うなづくといった非言語的なコミュニケーションを積極的に行うことで満足度を上げることができると同医師は語っていました。
まとめ
インバウンド向けの対応で言語問題は以前から課題として挙げられていますが、今回紹介した事例からははっきり、直接的な表現を心がけたり、ジェスチャー等の非言語的なコミュニケーションをしっかり行うことでインバウンドはコミュニケーション面での満足度を上げることができるのではないか、という示唆を得ることができます。 遠慮や謙遜、行間を読むといった日本的なコミュニケーションからもう一歩踏み込んだストレートなコミュニケーションを心掛けてみてはいかがでしょうか?