インバウンドにとっての二次交通手段としてタクシーが挙げられますが、タクシーのインバウンド対応にはいくつかの課題があります。
今回はタクシー業界の抱える課題をまとめ、アンケートを通して現状を見ていきましょう。
タクシー会社の抱える課題
過去にも何度かタクシーのインバウンド対応について記事『【最新タクシー事情】外国人運転手や最新テクノロジーなど 』にしていますが、まとめると下記のような課題があります。
1:多言語対応
2:キャッシュレス対応
3:料金が不明瞭、高額
これらの課題はタクシー業界に限った話でもなく、インバウンド対応を考える上でほぼ全ての業種に共通した問題と言えます。 1の多言語対応については外国人ドライバーの採用や外国語習得の推進などの正攻法の他、翻訳機の活用などが主な対策となっています。 2のキャッシュレス対応は今回のアンケートのテーマでもありますが、タブレット端末等の導入によるキャッシュレス化が進められています。 3についてはインバウンドがタクシー利用をためらう理由にもなっている可能性がありますが、タクシー運賃ルールの見直しを元にして乗車前にタクシー運賃を確定する、という料金体系が2019年10月25日に認可を受け、一部の事業者が事前確定運賃サービスの運用を開始しています。
タクシー運転手に聞いたキャッシュレス決済について
今回は大成広告社が関東在住の40から60代のタクシー運転手90名を対象に2019年12月18日(水)~2019年12月19日(木)の期間に行った「タクシー運転手の働きがい」に関するアンケートを参照します。 その中でキャッシュレス決済についてどう思うか、という質問に対して44.4%が「楽になった」と回答しています。 特にキャッシュレス決済になることでお釣りの計算やお釣りを渡す手間が省けることをメリットと感じているタクシー運転手が多いということがわかりました。 その反面、お釣りが発生しなくなったことでお釣りをいらないとして多めに払ってくれるユーザーとのやり取りがなくなって寂しく感じる、という意見も27.8%も見受けられました。 また、自由回答としてキャッシュレスについてどう思うか質問したところ、売上から手数料が引かれるのは不満、機械がよく不具合になるという回答があった他、楽になった感覚はないが、お客様の選択肢が増えた事は良い事とする意見が上がっています。
外国語への不安があるドライバーが多数
東京オリンピックが開催される2020年ですが、外国人の乗車が増えることについてどう思うかという質問に対して「英語への不安がある」という回答が36.7%となっており、不安に感じている運転手が多くいることがわかりました。 また、「日本を案内できることが嬉しい」という回答が16.7%とインバウンドに対して日本を直接案内できることを楽しみにしているという回答も得られました。
まとめ
今回はタクシー運転手に聞いた働きがいに関するアンケートからキャッシュレス決済についての回答を見てきましたが、キャッシュレス決済を導入していない、という回答が21.1%もあったという点は見逃せません。 関東在住のドライバーが対象のアンケートでこの数値ということは地方ではさらにキャッシュレス決済を導入していないタクシー事業者は多いと思われます。 少しづつではありますがインバウンド対応への課題解決に向かっているタクシー業界ですが、地方の動向や導入した仕組みの現状についても継続的な検証が必要ですね。