年々右肩あがりに増加を続けるインバウンド数ですが、2019年は3188万人のインバウンドが訪日、今年も対前年比で増加という結果になりました。
しかし、オリンピックを控える今年2020年にインバウンド数4000万人、という政府目標の達成は微妙な状況になっています。
2019年は前年比2.2%増、伸び率が鈍化
国土交通省が10日に発表したところによると、2019年のインバウンド数は3188万人、前年比2.2%増となりました。 過去最高を更新していますが、インバウンド数は過去8年連続で増加し続けていますが、2.2%増という増加率は2012年以降で最小となりました。 インバウンド数は2013年に大台となる1千万人を超え、その後の6年で3倍に増加、2018年には3000万人を超えていました。昨年までは継続的に2桁の伸び率だったことを考えると今回の2.2%増は足踏みと言わざるをえません。 日韓関係の冷え込みを背景とした韓国客の激減や、相次いだ自然災害が影響した。政府は20年に訪日客を4千万人に増やす目標を掲げているが、達成は不透明になってきた。
日韓関係のこじれが原因?11月は-65%
原因のひとつと考えられるのが韓国からの訪日客の減少です。 JNTOが発表した2019年11月の各国からの訪日客数によると韓国は前年比65.1%減の20万5千人となっており、昨年8月以降は前年同月比で半減の状態が続いています。 これは日韓関係の悪化に伴う韓国国内での訪日旅行を控える動きによる影響と考えられます。 2018年は韓国からは754万人が訪日しており、国別では中国の838万人に次いで2位となっていましたが、2019年の1月から11月までの累計は533万人と-22.2%と大きく減少しています。
中国経済の減速の影響は?
インバウンド数の約4分の1を占めているのが中国からの訪日客ですが、中国国家統計局は2019年の国内総生産(GDP)は、物価の変動を除いた実質で前年比6.1%増、と発表しました。 これで伸び率は2年連続で減少となり、経済成長にはブレーキがかかった形となっていますが、消費動向への影響も出るのでしょうか? 直近のデータを見ると2019年の11月の中国からの訪日客は75万人で前年比21.7%、2019年1月から11月までの累計では888万人とあと1か月を残して2018年の838万人を上回っています。 新型コロナウイルスの蔓延で中国人観光客はキャンセルが相次ぎ、大変厳しい状態になっています。
2020年、4000万人は厳しい見通し
政府は今年のインバウンド数4,000 万人の目標達成に向けた「Your Japan 2020」キャンペーンを1月1日から1年間に渡って開催し、国と地方、民間企業等と連携しインバウンド誘客強化を推進していますが、JTBの予測では2020年の訪日客数は3430万人と大幅な未達となっています。
まとめ
2019年のインバウンド数の増加率が低くなったその他の理由としてはここ数年の自然災害の影響も挙げることができますが、日本は元々地震や台風などが多いこともあり、今後もこの条件下でインバウンド誘致を進めていかなくてはなりません。 4000万人という目標設定がはたして適切なのか、観光立国化を急速に進める中で受け入れ態勢の未整備や観光公害の問題等も発生していることを考えると改めて検討するタイミングかもしれません。