2020年1月に中国・武漢市を中心に感染拡大が報じられた新型コロナウイルスによる肺炎ですが、日本国内でも感染者が確認されるなど、世界的に感染者が増加を続けています。
中国では感染拡大を防止するために春節休暇の延長、学校や企業の営業再開時期を遅らせるなどの対策が取られていますが、日本経済への影響も避けられない状況になっています。
コロナウイルスとは
新型コロナウイルスが原因とされる肺炎は昨年12月以降、中国湖北省武漢市で複数報告されるようになり、その後2020年1月28日時点で感染者が4000人を超える事態となりました。 中国政府は感染拡大防止策として湖北省からの人の動きを制限するなどの対策を取っていますが、2月6日時点で中国国内での感染者は約2万8千人、死亡者は563名に及び、日本を含む27カ国で感染者が確認される事態となっています。
潜伏期間は最大14日間程度
人に感染するコロナウイルスは風邪のウイルスが4種類と動物から観戦する重症肺炎ウイルス2種類が知られていますが、今回の新型ウイルスは風邪やインフルエンザのような初期症状があり、比較的早い段階で肺炎や呼吸器症状が出るという特徴があるとされています。 ウイルスの潜伏期間は最大で14日程度と考えられますが、感染者のくしゃみや咳、唾液などの飛沫に含まれたウイルスを別の人が吸い込むことで感染する飛沫感染、感染者がくしゃみなどを手で押さえた時にウイルスが付着、その手で触れたものを別の人が触れることで感染する接触感染の2種類の感染経路が考えられます。 そのため大勢の人が集まるような場所を避けたり、マスクの着用、手洗いの徹底などが感染予防に
収益が見込める春節に影響
新型コロナウイルスの感染拡大により、武漢市だけではなく中国全体で感染防止のために外出や移動を控えたりする動きが各地方政府の指示で行われていますが、それによって春節休暇を利用して訪日を予定していた中国人の多くが予定をキャンセルせざるを得ないことになりました。 インバウンド業界では春節時期は年間を通して一番の稼ぎ時です。 観光庁のデータを見ると昨年2月から4月の3か月間に中国から訪日した観光客は約214万人、買い物による消費額は3,638億円となっています。 新型コロナウイルスによる感染症の拡大が収束するまでどのくらいの期間を要するかにもよりますが、前年比でマイナスになることは間違いなく、5割以上の減となることを想定しておく必要がありそうです。
まとめ
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年ですが、インバウンド4000万人という政府目標が厳しいという見通しが今回の新型コロナウイルスによってさらに難しくなったと言わざるを得ません。 インバウンド業界として今できることを挙げるとすれば、まず中国市場へのコミュニケーションを継続することです。 不測の事態によって訪日客が途絶えたとはいえ、事態が収束した際には間違いなく需要が戻ることを考えれば、中国市場への関心を持ち続け、武漢市をはじめ苦しんでいる人々への支援を行うといったケアを積極的に行うことも必要ではないでしょうか。 同時に中国以外からの集客を増やすためのプロモーションなどをしっかり行うことも重要です。現在の国別のインバウンド数を見ると中国、韓国が突出して多く、この2カ国に大きく依存しているといういびつな状況です。 長期的に見た場合は特定の国に依存しないような構成になるように欧米、東南アジアなどからの集客を増やすことが望ましいと言えます。