2020年2月上旬の時点でまだ終息の気配がない新型コロナウイルスによる肺炎ですが、例年であれば多数の訪日中国人観光客で賑わうはずのこの季節、中国政府の海外への団体旅行や一部の個人旅行の禁止措置を受けて観光客が減少しています。
2019年の訪日中国人は約1000万人だが…
国別の訪日外国人数を見ると中国がトップで、2019年には約1000万人が訪日しています。 特に中国人旅行者の4割が訪れるという人気の観光地・大阪では大阪城の天守閣を1日に訪れる観光客の数が前年比で2割減となる6100人まで減少するなど、影響が目に見えてわかります。
日本人観光客への影響も
さらに日本人観光客にも影響が出てきています。 栃木県那須塩原市では複数の温泉旅館で1月下旬以降に中国人の宿泊予約があるかどうかを有確認する電話が相次いでおり、予約がある、または予約が入った場合は断れないと回答すると予約をキャンセルされるという出来事が起きているといいます。 新型コロナウイルスの感染者は日本でも出ているため、感染予防の意味で外出や旅行などを自粛する動きがあります。しかし感染者と確認されたわけでもないにも関わらず中国人が同じ宿に宿泊するというだけで新型コロナウイルスの影響を考えてしまう、という過剰な反応をするケースが出てきており、今後も同様の影響が起きることが予想されます。
中国人の受け入れを断らない、と発表した東京ディズニーリゾート
新型コロナウイルスが発生源とされる中国では大規模な感染予防策が実施されており、春節時期に公開される映画の公開延期など、人が大勢集まるイベントを行わないような動きが行われ、上海ディズニーランド、香港ディズニーランドは当面の休園を発表しました。 そのような中、東京ディズニーリゾートは「中国のお客様の来園拒否はしない」という方針を表明し、話題となりました。 SNSやインターネットメディアでは新型コロナウイルスを保菌している中国人観光客が来園した場合、大勢の観光客でごった返す東京ディズニーランド、ディズニーシーで感染が拡大してしまう、という意見が噴出し、行く予定だったけどキャンセルする、という人が増えているようです。
静岡では9万人超の団体客が宿泊キャンセル
中国人観光客を敬遠する動きが強まっていますが、中国人観光客による消費が日本経済に大きく影響しているのも事実です。 静岡県観光協会によると2020年1月から3月まで間に静岡県内の宿泊施設でキャンセルされた予約の数は2月5日時点で約9万人分となっており、その多くが中国からの団体客だといいます。 同様の事態は静岡県以外にも発生しているものと考えられ、宿泊施設だけではなく旅行産業を中心に経営難に陥る企業が出てくることが予想されます。
まとめ
新型コロナウイルスに関する報道が過熱する中で感情的な意見や他国の対応と比較して日本が国としてもっと強硬な手段で感染予防をするべきだ、という論調も出ていますが、現在必要なのは冷静な姿勢と対応です。 個人レベルで可能な感染予防策をしっかりと行いながら、事態の終息に向けて出来ることをやりつつ、終息後の対応を準備することがインバウンド業界にも求められています。