インバウンドについての政府目標は2020年にインバウンド数4000万人、消費額で8兆円ですが、消費額については一人あたりの消費額を増やす必要があります。
そのひとつの対策として考えられるのがキャッシュレス決済によって財布の紐を緩ませる、というものです。
各国におけるキャッシュレス決済事情
各国でのキャッシュレス決済について、過去にも取り上げていますので、https://addd-link.co.jp/2019/12159/ 改めて確認しておきましょう。
クレジットカード社会の米・欧・豪はNFC決済
元々クレジットカード社会の米・欧・豪では所有しているクレジットカード、デビットカードを登録してモバイル決済を行うNFC決済が主流で、サービスとしてはApple PayやGoogle Payなどが利用されています。 NFC方式は国際標準の規格ですが、日本では交通カードなどで使用されているFelica方式が主流となっており、Apple PayやGoogle Payのようなサービスでも日本国内ではFelica方式で処理が行われています。そのため、NFC決済が普及している国からの旅行者は同じ決済サービスを日本では使えない、という問題が発生することが考えられます。
中国はAlipay、Wechat pay
QRコードを利用したモバイル決済が急速に普及した中国ではAlipay、Wechat payの2つのモバイル決済サービスがシェア争いをしています。 日本でもコンビニやドラッグストアを始め、色々なところでAlipay、Wechat payが利用できるようになっていますね。 中国ではネット通販や大きな店はもちろん、個人商店でもモバイル決済が可能なため、現金をまったく持ち歩かなくても生活できる社会になっているため、日本でも同様のサービスが利用できることで購買意欲を逃さず取り込むことが期待できます。
デビットカードが主流のインドとインドネシア
その他、アジア各国の事情を見ていくと台湾、香港はクレジットカードが8割以上、インドとインドネシアはデビットカードがそれぞれ56%、40%と高い数値を示しました。 スマートフォンによる決済は各国とも3割以下の利用率という結果になっています。
キャッシュレス決済導入による恩恵は?
同名の飲食店予約サイトを運営するTableCheckが行った調査によると、インバウンド客の対策として挙げられたのが「外国語表記・写真付きメニューを用意した」で、18.9%、「クレジットカード決済に対応した」が16.1%、「中国系決済(Alipay、WeChat Pay)に対応した、が8.6%という回答でした。 また、調査対象となった飲食店の75.7%にインバウンド客が来店しており、そのうち半数には毎月1~2回以上来店していることがわかりました。決済手段の多様化がキャッシュレス指向の強いインバウンド客が来店するきっかけとなっているようです。
まとめ
日本でも普及が進むキャッシュレス決済ですが、インバウンドを対象とした場合にはAlipay、Wechat Payといった中国系モバイル決済には対応が進んだものの、前述したNFC決済への対応がまだまだ進んでいない印象です。 また、今回参照した調査ではインバウンド対策について「特になにもしていない」という回答が53.9%あり、具体的な対策がされていないケースが多いことも明らかになっています。 新型コロナウイルスの影響でインバウンド数の減少が予想されますが、終息までの間にインバウンド対策をどのように行うか、検討してみるのはいかがでしょうか。