新型コロナウイルスの猛威が止まりません。中国では終息に向かっているという報道が出る中、日本国内でも感染者が増加しています。さらにヨーロッパではより深刻な状態が続いています。
人とモノの移動が制限される中、国内外の様々な産業に影響が出ていますが、今回は株式会社アクトプロが実施した自動外貨両替機「SMART EXCHANGE」の2月後半の利用状況の調査からインバウンド消費への影響の一部について見ていきます。
両替額が半分以下に減少
調査は2019年の1月から現在までに23都道府県・234台の両替機が対象となっています。都道府県別に昨年1月と今年1月の両替額を比較し、台ごとの増加額を算定し、これを基準に昨年2月後半の15日間の両替額から今年2月の両替予想額を想定し、実際の両替額と比較するという形で行われました。 全体での両替額は想定の半分以下となる48.61%という結果になりました。インバウンドの減少からすると両替額がもっと減少してもおかしくないところですが、大きく減少したのが中国、韓国からの旅行者で、もともと両替額が少なかったのに対し、両替単価が高めの欧米からのインバウンドの減少は微減だったためではないかと推測されています。 設置台数が多い東京都、京都府、大阪府についても昨年2月の両替金額を下回る結果となっています。 2月の想定予想額と比べた場合、東京都59.26%、京都府49.07%、大阪府41.46%という結果ですが、クレジットカードや電子マネーの利用はこのデータからは見えませんので、実際の影響は更に深刻なはずです。
沖縄県のアウトレットモールは絶不調
国内で有数の観光地、沖縄県も目に見えて不調です。 豊見城市の沖縄アウトレットモールあしびなーは観光客の減少により売上高が前年同月比で30%減少しました。同様の事例はイオンモール沖縄ライカムも売上が2ケタ減と過去に経験したことがないと担当者が語る程の落ち込みを見せています。 中国からの訪日観光客で賑わっていた総合免税店・ラオックスは那覇市内に14年に開業した国際通り店を2月20日に閉店した他、宮古島店もクルーズ船の寄港中止を受けて一時休業の措置を取っています。
人より鹿が多い奈良公園
年間を通して多くの観光客が訪れる奈良公園周辺も観光客がまばらです。奈良公園といえば天然記念物に認定されている鹿が名物。鹿のエサになる鹿せんべいを与えて記念撮影する風景を目にすることもなく、人よりも鹿の数が多いという状況になっています。 鹿せんべいを生産する会社によると1月下旬以降、売上は8割も減少、生産調整のためにパートの従業員の勤務時間を短縮する措置を取らざるを得ないといい、このような状況が続くと雇用にも悪影響が出ることになりそうです。
まとめ
当初は楽観的な見通しだったコロナウイルスによる影響ですが、長期化は避けられない様相を呈しています。観光産業はもちろんですが外食やものづくりなど、様々な業種が影響を受けていますが、政府の支援策を活用し、厳しい時期を乗り越えましょう。