終息までに時間が掛かりそうな新型コロナウイルス感染症ですが、日本国内だけではなく、欧州やアメリカでも感染が拡大しています。
訪日観光客が激減する中、ホテル・宿泊業を中心とした観光業には苦しい時期となっています。
そこで3月10日に政府がまとめた緊急対応策を確認し、ホテルや観光業に従事する事業者が使える支援策を見てみましょう。
3月10日、政府の緊急対応策が発表
新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応策の第2弾を政府は3月10日にまとめました。世界的に海外への渡航を制限する動きが強まる中、多くの産業が影響を受けています。 そこで中小・小規模事業者への資金繰り支援の拡充を目的として、特別貸付制度の創設すや売上高が急減した事業者を対象とした実質的な無利子化などが実施されることになります。
貸付・保証枠を6千億円規模に拡充
資金繰り支援の財源として日本公庫などの緊急貸付・保証枠が6千億円規模に拡充されたことに加え、新設された特別貸付制度に5千億円規模の融資枠が確保されました。 また、最長5年缶の返済の据え置き期間が設定されるなど、実情を鑑みた対策となっています。 売上高が急減する事業者に対しては信用力や担保を問わず実質的に無利子化することで対応、小規模事業者経営改善資金では大規模災害時と同様に別枠を設定、金利引き下げを行います。
資金繰り支援策には観光業・ホテル業も追加
信用保証制度として信用保証協会が一般保証とは別枠扱いで融資額の100%を保証するセーフティネット保証4号と同じく80%を保証する5号を既に紹介しています(『新型コロナウイルスの影響で中小企業支援を強化』)が、3月3日に対象業種としてホテル・旅館業、食堂、レストラン、フィットネスクラブなどが追加されています。 また、3月11日には初めて危機関連保証が発動されましたが、これによって一般保証及びセーフティネット保証とはさらに別枠として100%保証が利用可能となりました。 売上が減少する中では雇用調整が必要な事業者は少なくありません。そこで雇用調整助成金では特例措置を拡大し、各都道府県労働局などに設けられた特別窓口などを経由し、事業主からの相談をワンストップで迅速、円滑に受け付けすることが可能な体制を整えます。
観光業に向けて補助事業を実施
大きなダメージを被っている観光業への対応として、中小企業生産性革命推進事業などによる販路拡大や施設リノベーションの促進などの施策の他、誘客先の多角化などに向けた補助事業を実施する予定となっています。 観光地の多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成に6億8千万円、訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業として18億8500万円、日本政府観光局による正確な情報発信に10億700万円など、2019年度予算の予備費35億7200万円が計上されました。
まとめ
事態の終息後の観光振興について政府は人の流れの回復に向けて様々なキャンペーンを検討するとしていますが、現状現場サイドでできることは感染防止に務めることと終息を前提としてその後の手を検討することになります。 その他、支援策を用意している地方自治体もありますので、支援が必要な事業者の方は積極的に問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。