この特集にあたって 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」 この記事はそのような方へ向けて書いています。
学生インタビュアー中井の想い
はじめまして。 私は株式会社アドリンクでインターンをしています、大学3回生の中井一希と申します。 昨今のコロナによる経済的ダメージは世界規模で深刻な状況にあります。 特に観光業においては多大な影響を受けています。 そのため多くのメディアが観光業の状況についての情報を発信していますが、その多くは被害の大きさなどが語られています。 しかしその裏では、多くの観光従事者の方が新しい事業を展開し、新しい取り組みを行っています。 そこでこの度、観光に携わる企業や事業主の皆様にコロナ禍における対策や取り組み、そしてこれからの観光についてのお考えをお伺いし、インタビュー記事を書かせて頂くこととなりました。 これから多くの観光従事者の方にお話をお聞きし、コロナに負けず果敢に挑戦しているお姿を発信していきます。 記事を読んでくださった皆様の、これからの観光業に対して前向きに捉えていただくための一助となれば幸いです。 それではまいります。
第3弾は「ゲストハウス京都 コンパス」
今回は京都でゲストハウス「コンパス」を営んでいる野上千津子さん、野上嘉之さんご夫婦にお話を伺いました! コンパスさんは、世界最大のクチコミ・プラットフォーム「TrustYou」の「クチコミ高評価の日本の宿2016-2018 総合ランキング」で「第2位」、「Booking.com」が運営する「KAYAK」で2019年の最優秀ホステル部門「日本のホステル第1位」、そして「Tripadvisor」で「2020年京都の宿泊施設第一位」に選ばれるなど、非常に高い評価を得ています。 詳しくはコンパスさんのHPと本記事をご参照ください。
コンパスさんのHPはこちら↓
お客様一人一人に対して温かく接するゲストハウスのオーナーさんに、コロナ禍での状況や取り組みについてお聞きしました!
プロフィール
Guest house KYOTO COMPASS
代表 野上千津子
野上 嘉之
1、コンパスさんについて
-コンパスさんについて教えてください!
コンパスは今から6年前、2014年に開業しました。 かたちは宿泊施設なのですが、なんせ家内(野上千津子さん)が世話焼きなもんですから、 お客様に笑顔で帰っていただけるように少し踏み込んだサービスを提供してると思います。 例えば、パンを食べているお客様がおりましたら、「スープ飲みますか?」などと聞いたりしてしまうんですよ。 そういう意味では宿というよりも“ふるさと・お家”という感覚に近いと思います。 一人一人のお客様の満足度が高まるようにお手伝いをしているので、観光案内はもちろん日々の悩み事相談なども行っています。解決まではなかなか難しいですけれどもね(笑)。
-2014開業でしたら、ちょうどインバウンドブームがおこりはじめた時期ですね?
そうですね、2014年~2016年までの3年間は年間約2000人のお客様が来てくださり稼働率も非常に高かったです。 しかし、インバウンドが盛り上がると必然的に競争が激しくなりました。 私どもが創業したころ京都市内に約600件のゲストハウスがあったのですが、現在は3000件を超えているというので5倍以上増加しています。 お客様も年間で1600人ほど、稼働率が大体80~85%でしたので2割ぐらい下がりました。このような状況の中でコロナの感染拡大がおこったので、私たちの業界は非常に厳しい状況にあると思います。
2、コロナによる影響とコロナ禍での取り組みについて
-コロナによる影響はどのように現れはじめましたか?
1月時点で怪しい病気が中国では流行っていることは知っていたのですが、2月に入ってから中国人のお客様から続々とキャンセルの連絡が入りました。 3月になると今度はヨーロッパのほうで感染拡大し、キャンセルが続きました。 私どものお客様はイタリアやスペイン、フランス、南ヨーロッパの方々も多く、またヨーロッパの方々は半年先の予約を入れてもらっているので6~8月分は全てキャンセルとなりました。 そして、4月からは緊急事態宣言によって日本のお客様からもキャンセルが入り、一時営業を中止しました。 5月7日から事業を再開させたのですが、6月は閑散期のためほとんど見込みはありませんでした。 7月に入って10月以降の予約が入りだしたのですが、感染拡大の第2波が押し寄せているためまだ余談を許さない状況です。 今は日本の方と日本に在住している外国人の方に利用していただいております。
-現在の来客状況はいかがですか?
(10月23日にもう一度お伺いさせていただきました。)
前とあまり変わらないですね、今もほとんどリピーターの方しか来ません。 週に3~4人、多いときで6~7人ぐらいです。 GoToは始まりましたが、ホテルの方が割引額が大きいので、みんなホテルや旅館の方を利用しているのだと思います。
-コロナの感染予防策について何を行っていますか?
今は相部屋ができない状況なので、ドミトリー用として今まで利用していた4部屋の中から2部屋を、1人もしくは1組の個室として使用しています。 また、設備面では空気洗浄機や消毒グッズなどの一般的な対策グッズをそろえています。 そしてなにより、私どもが感染しないようにすることが一番の対策だと思っています。 お客様が安心して泊まっていただけるよう心がけています。
-誘客策については何か行っていますか?
7月13日~8月14日の期間でクラウドファンディングを行いました。目標達成できなくても国内からの新しい新規のお客様を増やそうというのが目的だったのですが、無事達成できてよかったです。また、今年の1月からインスタグラムを始めたのですが、今も毎日投稿を継続しておりまして、その中でコンパスのことや周辺のお店の紹介、観光プランなどについて発信しています。 クラウドファンディングやインスタグラムを通して、ツーリングやハイキング、そして早朝観光など、コロナ禍での新しい京都の楽しみ方を推奨しています。
コンパスさんのクラウドファンディングのページはこちら↓
-最近は何かイベントされていますか?
(10月23日にもう一度お伺いさせていただきました。)
先日オンライン観光を開催しました。ドイツ在住のリピーターの方が、ドイツのケルンからライブ中継してくださいました。なかなか海外に行けない状況下なので、みなさんとても楽しんでくれました。定期的に行っている書道教室も好評です。
3、これからの観光について
-京都市の簡易宿所が4、5月だけでも100件ほど廃業しており今後も先行きが見通せない状態にありますが、その中で今行えることは何でしょうか?
祈るばかりです。 ただ、新しいプランを色々な方と話し合っている時に、活き活き頑張れているんです。これができているうちはまだ大丈夫かなと思います。 他にはクラウドファンディングのために動画を制作し、さらに海外向けに英語バージョンや中国語バージョン、韓国語バージョンなどでも発信しました。 国内外の方々に京都について少しでも知っていただき、最終的にコンパスに足を運んでほしいなと思っております。
-本日お話を伺わせていただいて、コンパスさんがとてもお客様に愛されているように感じました!
そうですね。 ゲストハウスを始める前は、休みの度に京都中を走り回って情報を得ていたんですけど、ゲストハウスを始めてからは一歩も外に出られなくなりました。 そのため、お客様に「ここどうだった?」「どこのお店がおいしかった?」と聞くようになったのですが、本当に色々なことを教えてくださり、常に新しい情報を得られるようになりました。 そのほかにも、私たちの子どもぐらいの世代の人たちが「こうしたほうがいいよ!」「SNSはこう使うんだよ!」などと教えてくれたりします。 そして、今まで利用していただいた海外のお客様から沢山のメールが送られてくるんです。「自分が編集してみんなに回すから、動画送って!」とか言ってね。 コンパスはまさしくゲストに支えられたゲストハウスだなと思っています。
中井の一言コメント
今回インタビューを通して、野上さんご夫婦がお客様一人一人を大切にしており、フレンドリーに接していることがわかりました。 また、インタビューの後一度宿泊させていただいたのですが、近所のおいしい飲食店を紹介してくださったりコーヒーを飲みながら楽しくお話することができ、コンパスさんがなぜ多方面から高い評価を得ているのか、その理由を肌で感じることができました。 千津子さん、嘉之さん、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!