この特集にあたって
- 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」
- 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」
この記事はそのような方へ向けて書いています。
第四弾は「えびす屋」
今回は京都で観光人力車の事業をしているえびす屋さんにお話を伺いました! えびす屋さんは、京都の嵐山や東山、浅草など全国の主要な観光地で人力車を走らせており、地域の方や多くのお客様に愛されています。 詳しくはえびす屋さんのHPと本記事をご参照ください。
えびす屋さんのHPはこちら↓http://ebisuya.com/
コロナ禍でもお客様と直接関わり安心・安全と喜びを提供しているえびす屋さんに、コロナ禍での状況や取り組みについてお聞きしました!
プロフィール
えびす屋総本店
本部営業企画部 次長 笹井啓行
1、えびす屋さんについて
-えびす屋さんについて教えてください!
弊社は人力車の観光サービスを提供している会社です。 1992年に京都でサービスを開始し、現在では全国10カ所に展開しております。
-お客様に満足していただくために工夫していることなどはありますか?
お客様がサービスのご利用時に心地よく・快適に感じていただけるような空気づくりを行っております。 私たちの仕事は、言うなれば人の目には見えないカプセルみたいな状態になっておりまして、その中でお客様と人力車夫との人間関係や会話が生まれています。信頼も含めてね。 お客様にはこの特別な空間の中で、各拠点の歴史や自然、そこに住んでいる方々、そこで商売を営んでいる方たちと遭遇していただくわけなんです。 そのため、私たちは声のトーンや目線、ちょっとした会話も含めて、この空間・この空間の空気感を創り出すようにしています。
-スマートフォンの普及などによって、以前とは人力車を利用する方の目的も変わってきていると思うのですが、お客様のニーズが変化しているのでしょうか?
根本的なところは変わらないと思います。 しかし、おっしゃるとおりスマートフォンなどツールは変わってきましたね。 今顕著に表れているのが写真を求められることです。 インスタグラム等のSNSに使いたいと。 そのため、通常の人力車のサービスはもちろん、写真映えするけど人力車では行けないようなところに身体一つとカメラを持ってお客様を案内するフォトガイドツアーなどを提供し、お客様のニーズに応えるようにしています。
フォトガイドツアーの詳細についてはこちら↓
2、コロナによる影響とコロナ禍での取り組みについて
-コロナによってどのような影響がありましたか?
他の観光業界の方々と一緒です。 弊社も4月18日以降は休暇に入りまして、5月は丸々営業していませんでした。 6月に営業再開しましたが、地元の方がお散歩しているだけでほとんど売上がありませんでした。 7月に入ってから少し雰囲気が変わってきて、兵庫や大阪、奈良といった関西圏からのお客様、特に20代前半の方々が少しずつ来てくださるようになりました。 梅田とかなんばとか遊園地とか全部閉ってましたからね。遊ぶところがなかったんやと思います。 そこで、今まで3人で人力車を回していたのを5人に、5人でやっていたのを7人に、土日は15人出そうかというように増やしていきました。 8月はお盆にかけて感染拡大の第2波がきたのでその時の売上は縮小しましたが、その後は順調に盛り上がって今に至ります。
-コロナ禍での感染予防策や誘客策について何を行っていますか?
コロナの具体的な感染予防策は弊社ウェブサイトに記載してあります。 しかし、コロナだからといってはじめたことはありません。 私たちは阪神大震災やSARS、鳥インフルエンザなど色々なものを経験してきました。 そのたびに観光客は減ってきました。 5年や10年周期でこのようなことが起こるので、この繰り返しですよ。 私たちは毎年インフルエンザに注意を払っていたので、当初からうがいや手洗いなどの感染予防を常に徹底してやっていました。 コロナがきても警戒を一段階引き上げただけのことです。 誘客策に関しても特に新しいことはしていません。 そもそも私たちの事業って利用しない条件が少ないんですよね。 密にならないし、対面で座らないですし、外なので換気とかもありませんしね。 だから、その地域に訪れる方が増えたら間違いなく弊社を利用してくださるお客様も増えると思います。
えびす屋さんのコロナ感染予防策についてはこちら↓
3、これからの観光について
-コロナがなかなか収まらないこの状況下で、新たに求められているものは何かありますか?
弊社の事業だけでいえば、あまり変わらないですね。 ただ常に変化に対して柔軟性を持たせています。 少し前まで外国人は人力車に乗らなかったんですよ。私たちも乗るわけがないと思っていました。 というのも、人力車というものは外国にも結構あるのですが、どの国でも身分が高くない人がやる職業とされています。日本でも昔はそうでした。 そのため欧米の方なんかは乗車を嫌がる人が多かった。 しかし、実際に外国人の方々に乗ってもらって、「色々な言語を話せるんだね。人力車の人すごいね。」、「どうして大変そうな仕事を、誇りを持って笑顔でできるの?」などとおっしゃっていただき、旅行会社さんのクチコミサイトでもたくさんのコメントをいただくなかで、多くの外国人のお客様に利用してもらうようになりました。 このように私たちは近年では、他国の言語の習得や外国人の方を雇用するなどしてインバウンドに対応できるようにしていました。 どのようなことが起きたとしても、その時代の変化に適応することが大切だと思います。
-時代に対する柔軟な姿勢が人力車夫さんのステータス向上に貢献しているのですね。
そうですね、しかしこれはあくまで結果です。 私たちが念頭に置いていることは、日本人も外国人も赤ちゃんもおじいちゃんおばあちゃんもが世界中のみんなが感動してもらうということです。 創業当時から今まで常にそれを大切にしてきました。 多くの方々が観光地でおいしいご飯を食べて現地の人と関わって感動するように、人力車に乗ってもらって感動してもらい、人力車に乗ったことが旅行の思い出として残る人が増えてほしい。 このような気持ちに基づく行動の結果、多くの方に人力車夫が認知されるようになったと思います。
えびす屋さんの人力車夫さんの紹介ページはこちら↓
-最後にこれからの観光に対するお考えなどございましたら教えてください!
とにかく変化に柔軟に。変えちゃいけないことは変えない。 これが一番。 今までリーマンショックや東日本大震災などを経験して、沢山の犠牲者が、沢山の被害が、物質的にも精神的にもボロボロになっている人は沢山います。 しかし、人間はこのようなことを繰り返して強くなっていきます。 だから私たちもコロナ禍でダメージは受けましたけども、また確実に皆さんと一緒に乗り越えていきます。
中井の一言コメント
今回お話をうかがったなかで、人力車夫の方々が改善をコツコツ積み重ねることでお客様に最高のサービスを提供していることがわかりました。 また、変化に応じてサービスのかたちを変えるのではなく、常にやるべきことを行う点が印象に残っています。 笹井さん、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!]]>