日本の百貨店で多く見られる化粧品や香水など、所謂「高級」な美容品。
これらを積極的に購入する中国人観光客の姿を、化粧品フロアに足を踏み入れたことがある方なら一度は見たことがあるでしょう。
今回はなぜ中国人が化粧品を大量に購入するのか、また中国人への販売戦略について話していこうと思います。
訪日中国人の何割が購入するのか
観光庁「訪日外国人消費動向調査平成29年10月~12月期」のデータによると、訪日外国人全体の「化粧品・香水」の購入率が46.1%であるのに対し、訪日中国人の購入率に焦点を当てるとその数字は実に81.4%という結果に。他国の訪日外国人と比較して訪日中国人の中で化粧品の購入がいかに定番化しているのかが顕著に表れています。
なぜこんなにも化粧品を購入するのか
所謂高級品である日本の化粧品を、なぜ訪日中国人が意欲的に購入するのか。そこには大きく2つの理由があります。
①一人っ子政策の影響
中国と都市部で行われてきた一人っ子政策の下に生まれた女性達は、生活や就学の資金面で両親からの手厚いサポートを受けて大切に育てられている傾向があります。 贅沢をすることや多額の出費に躊躇しにくいこれらの女性が、20代や30代といった訪日中国人の中心的世代になった今、高級化粧品の購入に積極的な訪日中国人が増加しています。
②「高い=良い」という意識
中国人富裕層の消費行動に内在すると言われる感覚として、「高いもの=良いもの」という意識があります。 古来より、体に毒となるものを塗るなど良しとしない考え方もあるため、出来るだけ体に良いものを選びます。 そこで判断基準として明確なのが、「値段」です。要するに、高いものであれば、体への負担が少ない良い商品だという発想です。 また、「高い=良い」の一方で「安い=不信」という感覚も強い。何で出来ているか分からず、体に良いとは信じられない安いものよりも、高くても良いと思えるものに手を伸ばす傾向があります。
高級品以外も化粧品は売れている
高級化粧品を購入する理由として「高い=良い」という意識があったが、もちろん安くとも信頼できる商品があれば訪日中国人の関心がそちらにも向けられるでしょう。 機能性を重視する意識も強い中国人女性にとって、安くても機能的で安心な化粧品は十分に受け入れられます。
今後の販売戦略とは
日本人に認められているもの
日本人女性の中で流行しているという口コミや、何らかの大賞を受賞したなどの評価を得ている化粧品であれば、高級なものでなくとも「安い=不信」という感覚が払拭されます。その結果、高級化粧品でなくともそのコスパの良さが認められて積極的な購入に繋がります。
有名人の起用
また、日本でも同じ現象は起きていますが、SNSを活用している有名人を起用するのも今後欠かせない戦略の一つです。中国国内で支持されている女性が特定の化粧品をSNSで高評価することも、その製品への安心感や信頼に繋がり、女性達の購買を加速しています。
まとめ
訪日中国人の間で既に高い購買率を誇る化粧品ですが、 戦略的なアピールによって化粧品への安心感や機能性を高めることで値段やブランドに関わらず利益を得ていくことが十分に可能であると言えるでしょう。