海外旅行をした際、現地の看板等の意味がわからずに苦労した、という経験は多かれ少なかれ誰でもあるのではないでしょうか?
訪日外国人観光客が増加する中、この問題がトイレでも起きていたことを受け、一般社団法人日本レストルーム工業会が国内で統一した温水洗浄便座の操作ボタンのピクトグラムを元に国際標準化機構に提案したピクトグラムが2018年1月に国際規格として登録されました。
外国人観光客がトイレを流さないのはなぜ?
きっかけとなったのは日本を訪れた一部の外国人観光客がトイレを使用した後、流さずにそのままにしているという問題が顕在化したことによります。 このような問題の背景には多機能すぎる日本の温水洗浄便座があるようです。
トイレの操作が複雑すぎる?
日本のトイレ(温水洗浄便座)はボタンが多い上に、メーカーによってボタン毎のピクトグラムが違い、操作がわからないということが理由の1つとして挙げられておりました。このような事例は外国人観光客だけでなく、日本人である私たちにも心当たりがありますよね。
ピクトグラムの統一で操作をわかりやすく
そこでメーカー各社がまず国内で温水洗浄便座の操作ボタン上のピクトグラムを統一し、それを元に国際規格として提案した結果、国際規格として登録されることになった次第です。 これによって少なくともどの温水洗浄便座でも同じピクトグラム表記で操作方法を理解することができるようになるため、外国人観光客にとっても利便性の向上が期待できる他、温水洗浄便座を海外市場へ今まで以上に普及させる上で必要な一歩を踏み出したと言えるでしょう。
文化や習慣に根差したトイレ問題はまだまだ残る
温水洗浄便座のピクトグラムが国際規格によって統一されることにより、今後はどの国のトイレでも同様のピクトグラムを見ることができるようになることで操作がわからないという問題は一応の解決を見ることになりそうですが、トイレについての問題は文化的な背景も関係がありそうです。 例えば、韓国では排水の整備の問題で詰まりやすいことから、トイレで用を足したあとのトイレットペーパーを流さず、便器の脇のごみ箱に捨てるのが一般的で、排水が整備された都市部でもまだこの習慣が残っています。 2017年1月に韓国では用を足した後にトイレットペーパーを捨てるごみ箱を公衆トイレから撤去することでトイレ文化の国際標準化を推進していますが、その他の国でもこのようなトイレにまつわる独特の文化は存在しており、まだまだお互いの理解と歩み寄りが問題解決に向けて必要になるでしょう。
まとめ
2020年に控えた東京オリンピックに向けてさらなる外国人観光客の増加が見込まれますが、国際規格となったピクトグラムはトイレにおける「おもてなし」に大きな役割を果たすことになりそうですね。