訪日外国人観光客が日本に来て驚くことの中にトイレがあります。商業施設や空港等の公共施設のトイレの清潔さや温水洗浄便座の機能等、日本のトイレは驚きを持って迎えられるようになっています。
インバウンドで注目を集めるトイレ周辺への経済効果について見ていきましょう。
日本のトイレのここまでやるのか感
日本のトイレの進歩はすさまじく、訪日外国人観光客に衝撃を与えるレベルに達しています。 まず、前に立つと自動に蓋が開き、便座に腰をおろすと便座はあたたかく、用を足した後は温水洗浄便座でおしりを洗い、送風で乾燥することまでできます。 さらにきれいになったと立ち上がると水が自動的に流れるという、人が行う作業がほとんど発生しないという日本の温水洗浄便座の完成度はやりすぎの感もあるほどです。 それにトイレの空間そのものの清潔さや手洗いも手をかざすだけで水やせっけんが自動的に出るようになっている等、さらなる快適性を求めた開発の努力は続けられています。
日本のトイレ製品は海外でも人気
数々の名作で知られる映画俳優のレオナルド・ディカプリオさんは来日時の温水洗浄便座のあまりの快適さに購入して帰国したと言われています。 また、中国では温水洗浄便座がステータスとなっており、訪日中国人の買い物の中に入るほどの人気を獲得している等、海外でも温水洗浄便座は人気を獲得している製品なのです。
温水洗浄便座の海外での売り上げは?
事実、主要メーカーの海外での業績も好調です。 TOTOの海外住設事業を見ると第一四半期の売上高は前年比6%増、営業利益は11%増と増収増益となっていることがわかります。地域別のデータに目を向けると海外シェアの半分は中国で占められており、前年同期と比較して11%の増と好調なのがわかります。 販売台数ベースで言えば中国が15%増、アジア・オセアニアが37%増、アメリカが8%増となり、着々と市場を開拓しつつあります。
温水洗浄便座が普及していない理由は?
このように好調に市場に浸透している地域もありますが、欧州等は認知はされているものの普及にはまだ時間がかかっているようです。
①水質問題
原因として考えられるのがまず水質の問題です。欧州では石灰質が多く含まれる硬水であることが多く、設備内部で凝固することで故障が多い等が温水洗浄便座の普及を難しくしている可能性があります
②水不足問題
また、水不足が深刻な地域については水不足を防ぐためにトイレの洗浄水量について規制がある国があります。例えばカナダ、イギリス、ブラジル等ではトイレの洗浄水量は6リットルという規制がある他、カリフォルニア州などアメリカの一部の州では4.8リットル、シンガポールでは4.5リットル等、厳しい規制がある地域もあります。 このような問題に対してメーカーも対応を進めており、2006年頃から節水化を進めた結果、現在は5リットル以下が主流であり、この問題は克服されつつあります。
インバウンドがもたらす意外な需要
訪日外国人の増加によって伸びが期待されるのは旅行産業だけではありません。 経済産業省の調べではトイレットペーパーの国内販売額は人口の減少の影響で13年まで5年連続で減り続けていましたが、14~17年は前年比で毎年1~5%程度の増加が続いており、これは訪日外国人の増加時期とほぼ一致しています。 製紙国内2位に位置する日本製紙は静岡県にトイレットペーパー工場を新設し、竣工式を行った他、 王子ホールディングスや大王製紙も新工場を計画しており、紙需要が減少する中で数少ない成長分野としてリソースを注ぎ、商機を逃さない構えです。
まとめ
日本のおもてなし精神がもっともわかりやすく表現されているのがトイレなのかもしれません。 訪日外国人観光客のすべてが必ず使用する施設であるトイレで温水洗浄便座やトイレットペーパーを使用した結果、これ以上ないプロモーションが実現できているのかもしれませんね。