ユネスコの世界遺産にも登録されている京都・二条城は、日本を代表する文化財です。
この二条城、昨年2017年度の入城者数は243万9079人、前年比で53万4877人、28.1%増という大幅な伸びで過去最高を記録しました。
それまでの最高記録である1970年の211万4754人を50年近く経た昨年更新したという背景にはどのような試みがあったのでしょうか?
パンフレットの刷新と多言語対応
まず、パンフレットの大幅な刷新です。従来のパンフレットは日本語版の他、英語・中国語(簡体字)・韓国語(ハングル文字)の3言語が一冊にまとめられたパンフレットが用意されていましたが、内容的にも見直しの必要がありました。 そこでパンフレットは日本の歴史に詳しくない外国人観光客に配慮し、歴史的な背景や「将軍」とはどのような存在なのか、といったような説明や二条城のたどった歴史などをわかりやすく理解できるような内容に刷新され、6種類の外国語版(英、繁、簡、ハングル、仏、西)が2017年4月1日までに用意されました。 2018年7月1日にはドイツ語の配布が控えている等、充実した多言語対応が行われています。 その他、より深く二条城の魅力を楽しめるようにと日本語、英語による公式ガイドツアーが2017年11月から有料で始まりました。
観光客のキャリーバッグにも対策
二条城を訪れる観光客はキャリーバッグを携えている場合が多いのですが、場内のほとんどは砂利が敷かれており歩きにくいことに加えて、二の丸御殿には、ベビーカーやキャリーバッグを持ち込むことができません。 そのため、従来はコインロッカーを利用することになっていたのですが、2018年2月から入り口付近に手荷物預かり所を設置することで利便性を向上しました。
日本庭園を見ながら食べられる朝食サービス
※写真はイメージです。
昨年7月と8月に提供された朝食サービスは2カ月で2244食も売り上げ、予約を取ることが難しいほどの人気となりました。 「非公開の香雲亭で美しい日本庭園を見ながら食べられる朝ごはん」は外国人観光客だけではなく、日本人でもぜひ体験したいコト消費と言えるでしょう。 今年は昨年の好評を受けて期間を7月から9月までに延長することが決まっています。 派生した企画として今年2月1日から3月2日までは、昼食として「早春の二の丸御膳」の提供も実施され、同様に人気を博しました。
二条城に見る改革の本質
その他、二条城では営業時間の延長等も行う等、紹介した以外にも様々な改革を実施した結果、来場者数の更新という結果を生み出すことができました。 注目すべき点は二条城の改革はプロモーションやブランディングではなく、二条城そのものの魅力を磨き上げ、カスタマーエクスペリエンスを改善したということです。 WebサイトやPR動画等を使ったプロモーションや情報発信と比較した場合、観光施設そのものの整備や改善は手間も時間もかかります。しかし、その難題に取り組んだ結果が入場者数の大幅な向上とそれに伴う収入の飛躍的な伸びということにつながっているのです。
まとめ
二条城の事例は、観光立国を目指す日本にとって、観光地が観光客を増やすためにはどうするべきなのか、という本質的な問いに対する一つの答えとして大いに参考にすべき成功と言えるのではないでしょうか。