訪日外国人観光客にとって大きな楽しみの一つが買い物です。
買い物による消費というと流行語にもなった中国人観光客による「爆買い」が連想されますが、実際にインバウンド消費に占めるお土産とはどのくらいの割合になるのでしょうか?
お土産の金額トップは化粧品・トイレタリー商品
外国人が日本で買い物するものといえば品質や安全性に優れているものが多いのではないでしょうか。 化粧品、電化製品、ベビー用品、食品等はどれも日本が期待されている品質や安全性がポイントになっています。 2017年の訪日外国人による買い物額全体は1兆6398億円となっています。 内訳をみると化粧品・香水・医薬品・健康グッズ・トイレタリー商品が最も多く、6316億円となっています。 2位は洋服・かばん・靴類の2952億円、3位になるのが食品類ですが、3456億円でとなり、対前年比は19%増と大きな伸びを見せています。
中国人がお菓子を大量購入
食品類の売り上げの中でも菓子類の消費額が大きく、半分近い1589億円がお菓子による消費額となっています。 中でも中国人旅行者が菓子類全体の3割強となる563億円分の菓子類を購入しており、韓国の333億円と続きますが、この2カ国に台湾、香港、タイ、アメリカを加えた6か国が菓子類消費額の9割を占めています。
農産物の売り込みが各地で進行中
このようにお菓子を含む食品類は人気のお土産となっているわけですが、お菓子に負けじと農産物を訪日外国人観光客に売り込む動きが各地で進行中です。
①和歌山産のフルーツを手軽に持ち帰れるサービス
和歌山市のスターフードジャパンが2017年から手掛けているのが和歌山県の特産品である柑橘類や苺、桃等のフルーツの検疫代行サービスです。 注文は大阪市内のホテルに設置した申込書から可能で、出国する際に関西国際空港の直営店で検疫済の商品を受け取ることができるこのサービスは植物防疫所や検疫カウンターでの手続きの手間がなくなるため、外国人観光客にとって利便性が高くなっています。
②道の駅・但馬のまほろばはシンガポールに売り込み強化
兵庫県朝来市にある道の駅、但馬のまほろばでは2016年から農産物を関西国際空港へ配送するサービスをスタートしていますが、検疫条件の案内も行うことでより購入しやすいようにしています。 現在、注目しているのは個人消費が目的であれば簡易証明書だけで空港での検疫等の手続きをせずに牛肉を持ち込むことができるシンガポール。 地元のブランド牛肉である但馬牛を積極的にシンガポールに売り込む戦略で、収穫体験等のコト消費と合わせて但馬牛や農産物のPRに力を入れていく方針です。
まとめ
日本土産として食品は順調に伸びていますが、インバウンドの消費行動がモノ消費からコト消費へと移行していると言われる中、特色のある地方の「食」をうまく売り込むことができれば地方創生にも大きな影響をもたらしてくれそうです。 今回紹介した農産物の事例等を見ると、品目や国によって検疫が必要だったり、そもそも持ち帰れない等の条件があり、それに対応している点と空港への配送や手続きの簡便化や代行等で購入する際のハードルを下げる工夫をしているという点がポイントです。 地方への送客と地元名産品の販売をワンセットにした提案を海外に向けて発信することでインバウンド需要の獲得とリピーターの創出が出来るのではないでしょうか?