訪日する外国人観光客はここ数年右肩上がりに増え続け、毎年過去最高を更新しています。
国別インバウンド人口を見てみると1位中国、2位韓国、3位台湾という構図は変わりませんが、欧米からの訪日客が増加傾向にあります。
その背景と欧米からのインバウンド増の重要性について見ていくことにしましょう。
歴史や文化が欧米にアピール?
JNTO(日本政府観光局)によると、2016年の訪日外国人旅行者数は前年比で21.8%増となる2404万人でした。 インバウンドというと距離的に近いアジア圏からの旅行者が多い印象ですが、国別のインバウンド数ランキングで4位の香港を含めた上位4カ国で74.2%を占めるというデータからも印象通りだということが確認できます。
欧米からの観光客が増えている広島市
そのような中、広島市を訪れた外国人観光客は約152万人。 これは6年連続で過去最多人数を更新するという結果です。 内訳について一般的に考えると、全体の割合通りアジアからの観光客が7割前後を占めても良さそうですが、2016年のデータによると欧州・米国からの観光客が44.2%であるのに対し、アジア圏からは35.5%と違う傾向を見て取ることができます。 広島市観光政策部の分析によると、欧米からのインバウンド層は歴史への関心が高く、被爆地として世界的に知名度の高い広島に興味を持つ人が多いのでは、と言います。 2016年に当時のオバマ大統領が広島を訪れたことも広島を訪れる欧米からの観光客増に働いたと見る向きもあるようです。
欧米からの訪日旅行の目的は“食”、“自然”、“文化”
地域別の訪日前に期待していたことTOP3(JNTO2016年)
欧州
- 日本食を食べること(81%)
- 自然や景勝地観光(68%)
- 日本の歴史・伝統文化体験(55%)
北米
①日本食を食べること(86%)
②自然や景勝地観光(62%)
③日本の歴史・伝統文化体験(52%)
割合は若干違いますが欧州と順位は同じ結果が出ています。
豪州
については1位、2位は同じですが3位にショッピングがランクインするという結果になっていますが、この3地域を見ると食への興味も含めて日本ならではの体験期待している人々が多いと言えそうです また、(株)野村総合研究所の分析によると2014年と2016年を比較した場合、訪問先のトップである東京都への訪問率が各地域ともに10%程度減少し、代わりに地方が訪問先として選択される傾向が高まっています。 3地域全てからの訪問比率が上昇した地域として前述した広島市が上がっていることからも、欧米に加えて豪州からのインバウンド層は景観、歴史、文化といったような“コト消費”を中心とした消費行動を取っていると言えそうです。
米国からの訪日客は前年同期比で50%増
旅行予約サイトの世界最大手・エクスペディアグループが発表した訪日米国人旅行者の動向分析によると、2017年7月から2018年6月の1年間の訪日米国人旅行者の需要は前年比50%増と大きな伸びを示しました。 地域別に伸び幅が大きいところを見ると、名古屋の85%増、長野の80%増、福岡の70%、兵庫の70%増、神奈川の70%増が目を引きます。 詳細なデータがないのが残念ですが、いずれも有名な観光地や文化的資産が豊富なエリアですね。
欧米豪は滞在日数が長く、一人当たりの消費金額が多い
欧米からの訪日客が日本の文化を楽しみたいという意向を持っていることはわかりましたが、ビジネス的な観点での重要性を見てみましょう。 観光庁がまとめた2017年の訪日外国人の消費動向によると1人当たりの旅行支出が最も大きいのは中国の230,382円ですが、2位はオーストラリアの225,845円、3位はイギリスの215,392円になります。 また、平均泊数を見るとインバウンド人口ではトップの中国が10.9泊、2位の韓国が4.3泊、3位の台湾が6.7泊であるのに対し、インバウンド人口で5位の米国が13.8泊となる他、オーストラリアの13.2泊、フランスの15.7泊等、欧米豪は滞在日数がアジア圏と比較して長いことがわかります。 このように客単価、という視点で見た場合、欧米豪からの集客が非常に魅力的であることが見えてくるのです。
まとめ
欧米豪からの訪日客は日本の文化や歴史、体験に期待しているということがわかりました。最近のインバウンド増はプロモーションの成果であるとJNTOはまとめていますが、各地方・地域がそれぞれの歴史や文化をきちんと伝えることが出来ればゴールデンルート以外の訪問地として集客する余地はまだまだありそうですよ。