クレジットカード運営の米マスターカードが毎年発表する「世界渡航先ランキング」の2018年度版が9月に発表されました。
ランキングは渡航者数の成長率を過去8年間を対象に比較した「急成長渡航先ランキング」と渡航者数を都市ごとに比較する「渡航先ランキング」の2つです。
それぞれのランキングを見ながら日本の現在地を確認してみましょう。
渡航先成長率ランキング
調査の対象は世界の主要162都市となっており、1泊以上の渡航者数などを集計して行われました。 2011年から毎年公表されているこの調査ですが、今年は調査地点が30カ所増え、京都、沖縄は今年追加された調査地点となりました。 ランキングの上位を見てみましょう。
トップ10に沖縄、京都、大阪、北海道がランクイン
1位:沖縄 39.2%
2位:京都 27.8%
3位:大阪 23.6%
4位:成都(中国) 21.6%
5位:廈門(中国)20.5%
6位:プーケット(タイ) 18.5%
7位:北海道 18.4%
8位:アブダビ(アラブ首長国連邦)18.2%
9位:ハノイ(ベトナム) 17.7%
10位:コロンボ(スリランカ) 16.9%
今年から調査対象として追加された沖縄、京都がそれぞれ1位、2位にランクインした他、3位に大阪、7位に北海道がランクインしました。 大阪は2016年、2017年の調査では2年連続で1位でしたが、3年連続を京都、沖縄に阻まれた形です。 また、ランキングの1位から7位までがアジアの都市というところから、観光でもビジネスでもアジア圏の重要度が増していることが伺えます。
渡航先数ランキング
続いて各都市への渡航者数のランキングを見てみましょう。トップ10は以下のようになっています。
1位:バンコク(タイ) 2,005万人
2位:ロンドン(イギリス) 1,979万人
3位:パリ(フランス) 1,744万人
4位:ドバイ(アラブ首長国連邦) 1,579万人
5位:シンガポール 1,398万人
6位:ニューヨーク(アメリカ) 1,313万人
7位:クアラルンプール(マレーシア) 1,258万人
8位:東京 1,193万人
9位:イスタンブール(トルコ)1,070万人
10位:ソウル(韓国) 984万人
1位から6位までは前年と全く同じ順位という結果となりました。 バンコク、ロンドン、パリなど、いずれも世界的な観光都市として有名な都市がランクインした結果には納得感があります。 日本の都市では東京が8位にランクインしていますが、前年から78万人増加し、9位から1つ順位をあげました。 急成長渡航先ランキングでは3位にランクインしていた大阪は698万人から144万人増加し、842万人でしたが順位は昨年17位から2つ落とし、19位という結果です。
東京と大阪で違う訪問目的
詳細なデータを見てみると、都市によって訪問目的に違いが見られます。 東京の場合は「ビジネス」が24.7%、「観光など」が75.3%なのに対し、大阪は「ビジネス」9.2%、「観光など」が90.8%となり、観光客の人数だけに換算すると東京は約898万人、大阪は764万人と差が縮まることがわかります。 また、調査ではトップ20圏内の都市を対象に2018年の渡航者数上昇率も予想されていますが、東京は0.91%で最も低く、大阪も3.29%と低い予想結果となりました。 予想の妥当性については検討の余地がありますが、日本国内ではここ数年、大都市の伸びが鈍化するとした場合、地方都市へのインバウンド誘致のような動きが求められることになるかもしれません。
まとめ
2017年に訪日した外国人は2869万人で過去最高を記録しましたが、政府の目標となる2020年の4000万人は約4割増の数字です。 受け入れ側として宿泊施設や交通インフラ等をはじめ、インバウンド層に向けたサービス拡充が必要となっていますが、今回のランキングを見ると中国、タイ、ベトナム等アジア圏の各都市とのインバウンド誘致競争に勝てるだけの訴求力が日本の各都市に求められることになりそうです。