訪日外国人旅行者の訪問地と言えばかつてはゴールデンルートが中心でしたが、各地のプロモーションの効果もあり、次第に地方にも目が向けられるようになりました。
そんな中、九州は外国人入国者の50.9%海港からの入国が50.9%とクルーズ船を利用して訪れる観光客が多い点や、地理的な近接性を反映して韓国からの旅行者が多いという特徴があります。
今回は九州におけるインバウンド向け交通事情について見ていきます。
JRは乗り放題きっぷを販売
JR各社は外国人旅行者向けにお得な料金の乗り放題きっぷを販売していますが、JR九州では「JR九州レールパス」を販売し、列車の利用で九州内の主要観光地を効率よく観光するという提案をしています。 きっぷには対象エリア別に「全九州」、「北部九州」、「南部九州」の3種類がありますが、最も高額な全九州エリアパスでも3日間で15,000円というお得な料金設定となっています。
インバウンド向け交通カードを限定販売
その他、JR九州は海外でも人気の「くまモン」をキャラクターとした訪日外国人向けの交通カード、「SUGOMON PASS」を枚数限定で販売しました。 ICカード「SUGOCA」同様に利用可能エリア内の列車に乗車できる他、買い物や割引サービスの特典も用意されています。
高速道路が乗り放題サービス
九州を旅行する場合は移動手段が重要になりますが、「九州レンタカードライブ振興協議会」は2014年から外国人のレンタカー利用者を対象とした高速道路を定額で乗り放題となる「九州エクスプレスウェーパス(KEP)」をスタートしています。 利用日数に応じた定額料金で高速道路が乗り放題になるため、外国人観光客には好評を得たこのサービスは2017年度は3万3556件の利用がありました。
対象範囲の誤解からトラブルも
しかし、割引の対象範囲の誤解が原因となるトラブルも発生しています。 KEPの対象となる高速道路は西日本高速道路九州支社が管轄する高速道路のみとなっており、福岡北九州高速道路公社等が管理している都市高速は対象外となっています。 しかし、訪日外国人観光客にとっては区別がつきにくいため、対象外の高速道路も利用し、乗り放題のはずが追加料金が発生してトラブルになる事例が増えています。
九州以外でも懸念されるトラブル増加
KEPと同様の高速道路乗り放題は西日本、中日本、東日本高速道路の3社が各地で実施していますが、首都高速道路(東京都)や本州四国連絡高速道路(神戸市)などはシステムの違いや混雑を助長するといった理由で参加を見合わせているケースが少なくありません。 全国レンタカー協会によると九州は公共交通機関が少なく、訪日外国人のレンタカー利用が多いためKEPに関するトラブルが目立つが、今後は九州以外でも増加が予想されると指摘しており、都市高速のKEPへの参加要請等を含めた状況の改善を模索しています。
まとめ
インバウンドへ向けたサービスは交通機関に限らず様々用意されていますが、仕組みが分かりにくいことも多く、そもそもインバウンド層の認知度が低いというケースも見受けられるように思います。 せっかくの楽しい旅行なのにトラブルがあると楽しみも半減しますし、嫌な思いをした外国人観光客はリピーターにはなりにくいのではないでしょうか? 今回は九州の事例でしたが、インバウンドにとって使い勝手がよく、わかりやすいサービスが全国的に求められています。