2019年1月16日、観光庁は2018年のインバウンドによる旅行消費額は4兆5,064億円と過去最高を記録したと発表しました。
これは6年連続での過去最高更新となり、一見順調に見えますが、政府目標はさらに上、2020年に8兆円となっています。
国・地域別インバウンド消費額
2018年のインバウンド消費額の合計は4兆5,064億円となっていますが、国・地域別の内訳を見ていくと下記のようになります。
1位:中国 1兆5,370億円 (34.1%)
2位:韓国 5,842億円 (13.0%)
3位:台湾 5,839億円 (13.0%)
4位:香港 3,355億円 (7.4%)
5位:米国 2,890億円 (6.4%)
インバウンド人口が多い中国が消費金額でも最も多く、1兆5,370億円と突出しています。
1人あたりの平均旅行支出は微減
これに対してインバウンド1人あたりの旅行支出は前年比0.9%減となる15万2,594円となりました。 国・地域別の平均旅行支出は以下の通りです。
1位:オーストラリア 242,050円 (前年比+7.2%)
2位:スペイン 236,996円 (前年比+11.5%)
3位:イタリア 224,268円 (前年比+17.1%)
4位:中国 223,640円 (前年比-2.9%)
5位:英国 219,725円 (前年比+2.0%)
国別ではオーストラリアが24万円とトップでヨーロッパ勢も支出金額が大きいことがわかります。中国が前年比でマイナスになっているのが気になります。
消費額の目標・2020年に8兆円には1人あたり支出20万円が必要
政府目標である2020年のインバウンドによる旅行消費額8兆円を達成するためには、インバウンド数を目標通りの4000万人にした上で現在約15万円の1人あたり支出を約20万円にする必要があります。 近年で最も1人あたりの支出が大きかったと思われる爆買いの時でも20万円には届いていないことを考えると、買い物需要だけでは目標には届かない可能性が高いです。 では、どのようにすれば1人あたりの支出を20万円まで増やすことができるのでしょうか?
コト消費と地方サービス需要の掘り起こし
そこで注目を集めるのがコト消費です。 インバウンドの消費動向が買い物などのモノ消費から体験に価値を見出すコト消費へ移行していると言われていますが、体験型観光の充実によってインバウンドの消費を後押しすることは可能ではないでしょうか。 環境省もコト消費への興味を向けており、全国8つの国立公園の整備を進め、サービスの向上を図る「国立公園満喫プロジェクト」は、まさにコト消費を推進するプロジェクトと言えるでしょう。 現在、インバウンド消費額のうち娯楽サービスに対する支出は4%を下回っていますので、これを底上げすることが目標達成への近道となりそうです。 また、地方の観光資源の見直しとコト消費の充実を進め、送客を積極的に進めることでインバウンドによる恩恵を全国に広げるといったような取り組みも必須になります。
まとめ
インバウンド人口については目標に対して順調に推移していると言えますが、消費額については目標達成にはさらに一山、ふた山超える必要があります。 2020年の東京オリンピックや統合型リゾート等による消費額増が見込めるとする意見もありますが、いずれにしても国、自治体、各地の観光業者がそれぞれにコト消費の拡大を目指す必要があります。