東北地方の冬といえば雪ですが、各地では雪を活かした祭りやイベントが始まり、インバウンドに向けた取り組みを見せています。
中国や台湾、タイ等からのインバウンドが多い東北にとって、冬の集客とインバウンド層の満足度向上はそれ以外の季節の集客にも大きく影響があります。
今回は東北各地の冬の取り組みについて見てみましょう。
マレーシア大手旅行会社社長が青森で地吹雪体験
台湾や青森・天津間の定期便就航、クルーズ船の寄港増加などの好材料によって観光客が増加している青森県ですが、1月下旬には五所川原市の津軽鉄道芦野公園駅近くでマレーシアの大手旅行社の社長他9名が地吹雪体験をしました。 青森県内の7カ所で体験できる地吹雪体験は参加者の6割がインバウンドという人気ですが、マレーシアからはこれが初参加となることから、マレーシアでのプロモーションに繋がればと地元では期待を寄せています。
秋田県横手市はかまくらでインバウンドにアピール
インバウンドを推進する横手市観光推進機構は横手のかまくらでインバウンド向けにアピールをしています。 2月15日、16日に行われている横手のかまくらでは昨年初めて「かまくらBar」を開いたものの、英語表記もなく外国語対応の用意が出来なかったため、インバウンドの中には写真だけ撮影しているケースが見受けられたということを踏まえ、今年は台湾、ベトナム、米国などからの留学生7名を含む国際教養大学の学生10人が英語を含めた多言語対応を行いました。
岩手県北上市ではスノーモービルで雪山体験
撮影:MIKI Yoshihito
岩手県は台湾との直行便があるため、訪れるインバウンドの大半が台湾からの訪日客です。 温暖な気候の台湾では雪が珍しいということがあり、北上市にある夏油高原スキー場ではスキーやスノーボードに慣れていない台湾人観光客が楽しめるようにとスノーモービルの体験コースを設定しました。 スノーモービルは免許がいらず、中学生以上であれば利用が可能と手軽な他、スノーモービルにけん引される「スノーラフティング」は家族で楽しめるアクティビティとなっています。
タイへのプロモーションが好調な山形県
仙台市と連携し、タイと台湾メディアを招聘するなどしてインバウンド誘致に積極的な山形市では 山形県新庄市では昨年までは最上中央公園で開催していた「雪国ワンダーランド」をJR駅前に設置し、インバウンド対応を始めています。 スノーモービルがバナナボートを牽引するアトラクションは大人気で、タイからの団体客だけで100人以上が来訪しています。 さらに春節期間中である2月9日、10日に米沢市で開かれた上杉雪灯籠まつりでは、春節休暇で訪日した中華圏の人に楽しんでもらおうという試みで華やかなランタンロードを新設しました。
まとめ
各県ともにインバウンドにアピールしやすい雪を活かしたイベントを開催し、アピールを続けていますね。 言語対応については地元の外国人留学生等を起用して対応するなどの工夫がなされているようです。 しかし、日本銀行青森支店がまとめた資料によると、青森県の宿泊施設、観光施設に対して行ったアンケート調査ではアンナン表示の中国語(簡体字)対応は対応済みが29.2%と3割なのに対し、検討中が11.1%と低い水準に留まっている点など、インバウンド対応への取り組みに消極的な様子が伺えます。 雪の季節だけではなく、通年で安定的にインバウンド層を誘致するためには現場レベルでのインバウンド対応をさらに推進する必要がありそうですね。