昨年1年間に日本を訪れたインバウンドは3119万人と過去最多を更新、はじめて3千万人を突破しました。
日本を訪れるインバウンドの目的には買い物や食事、寺社仏閣などの観光資源巡りなど、様々なものがありますが、中でも存在感を増しているのが桜です。
4月に日本を訪れるインバウンドが増加しているのはどうやら桜が理由になっているようです。
2018年のインバウンド、月別最多は4月
JNTO統計データ(訪日外国人・出国日本人)を元にアドリンク作成
JNTOの発表しているデータによると、これまで月別で最も多くのインバウンドが訪れているのは7月、2番目は10月、4月はその次という順位でした。 しかし、2018年度を見ると月別の最多は4月の290万人、続いて7月の283万人、10月の264万人という結果となっています。 この背景には桜の人気が海外で高まっていることがあるのではないか、と言われています。
4月のインバウンドを国別に見ると中国がトップ
2018年4月に訪れた国別の人数と伸び率
アジア

JNTO統計データ(訪日外国人・出国日本人)を元にアドリンク作成
※赤括弧はマイナス
欧米

JNTO統計データ(訪日外国人・出国日本人)を元にアドリンク作成
※赤括弧はマイナス
4月のインバウンド数を国別で見ると、中国が68万人とトップになっており、2位には韓国がランクインしています。物理的な距離が近い国は桜のシーズンに合わせて手軽に来日することができることがランキングにも反映されています。 中国の大手旅行会社、Ctripは日本の桜を見るツアーを多数造成して人気を集めていますが、中国メディアの予想によると今年の桜の時期に訪日する中国人観光客は100万人程度と予想されています。 ここ数年の伸び率で見るとベトナムやインドネシア、フィリピンなどが目立っています。 同じデータをヨーロッパのトップ5を見てみると、1位のフランスが4万4千人ですが、インドネシアとほぼ同じ数字です。 距離的な問題もあり絶対数はアジアと比較して少ない印象ですが、フランス、ロシアなど伸び率で見ると2014年と比較すると2倍となっています。
1年間で4月に日本を訪問する国別の割合(2015〜2018年)
アジア

JNTO統計データ(訪日外国人・出国日本人)を元にアドリンク作成
黄色で示した通り、だいたい似たような傾向になっているのがわかります。 この中でもタイは訪問数自体もかなり多いので、対策しておくべきでしょう。 また、イスラエルなどのイスラム教圏もこの4月の訪問が特に多く、イスラム教圏をターゲットに選定している場合は4月は1番の稼ぎどころです。
欧米

JNTO統計データ(訪日外国人・出国日本人)を元にアドリンク作成
続いて、欧米ですが、ポーランドとフランスがいつも安定して4月によく訪問されています。こちらをターゲットに選定されている場合は4月に注力すると良い結果が得られそうです。
海外でも通用するSAKURAやHANAMI
海外において日本が紹介される場合、ビジュアルとして多く使われるのが富士山や寺社仏閣ですが、桜の風景も使用される頻度が高く、日本と言えば桜、という形で認知度が高まったと考えられます。 また、タイや香港、ロシアの旅行会社は東北地方の桜を見るためのツアーを組んだりしています。そのため、「SAKURA」や「HANAMI」という言葉の認知度も高くなり、日本の桜を体験してみたい、というインバウンドが増えているようです。 JNTOも桜を絡めたプロモーションを各地で展開しています。 シンガポールでは2018年3月9日から4月8日までの約1か月間、「SAKURA MATSURI」と題された祭りが開催され、前年比15%増となる約84万人が来場し、大盛況となりました。 アメリカのワシントンでは「全米桜祭り」が開かれ、日本の桜を紹介するとともに観光客の誘致を行っています現場からは、桜に興味を示す人が増えているという報告があります。
まとめ
JNTOでは、桜に関するインバウンド向けの特設ページを設けており、英語や中国語、韓国語で日本全国の桜の名所やそれぞれの開花予測、満開日の予測を掲載することで桜を目当てに訪日するインバウンドが日程を立てやすいようにという配慮を行っています。 ちなみに同サイトの中国語や韓国語のページの閲覧数は昨年の2倍と大きな伸びを示していることから、既に多くの人々が訪れている中国、韓国についてもまだまだ伸びしろがありそうですね。