【謎対応】8月の猛暑により暗雲立ち込める五輪

ここ数年、日本の夏は酷暑が猛威を振るっていますが、総務省消防庁の報告データによると全国で6月から9月の4か月間に熱中症で救急搬送された人数は、2010年が5万6119人、2013年が5万8729人、2015年、2017年も5万人を超えており、データも猛暑を裏付けている形です。

日本各地が猛暑

今年の夏も連日全国各地で最高気温の更新が相次ぎ、あまり暑さに熱中症で搬送される人は後を絶たず、死者も出ています。
日本の暑さに慣れていない訪日外国人観光客への配慮や取り組みについては過去記事で取り上げていますが、更なる認知と啓蒙が求められています。
そのような中、2020年の7月24日から8月9日までの17日間に渡り開催が予定されている東京オリンピックとその後12日間に渡って行われるパラリンピックの開催は無謀ではないか、という意見が起きています。

米紙、夏の東京五輪を批判

特に猛暑が悪い影響を及ぼしそうな競技として挙げられているのがマラソンです。陸上競技の中では最も注目度が高い競技の一つであるマラソンですが、過酷な暑さの中で2時間を超える競技を行うことになるため、実施そのものが危ぶまれています。
その他、サッカー等の屋外競技には競技時間が長く、かつ運動量が多いものがあり、マラソン同様に厳しい競技となることが予想され、選手の安全も危惧されています。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は7月24日付で、「東京五輪は暑さが心配(For Tokyo Games,Heat is a Worry)」という見出しで記事を掲載、開催時期に「疑念が再燃している」と報道しています。

日本の謎な暑さ対策

①冷房なし?打ち水で対策?

また、懸念されていることの一つが新たに建設されている新国立競技場です。多くの競技の実施が予定させている新国立競技場ですが、実はエアコンが設置されていません。
半ドーム状の構造を持つ新国立競技場ですが、先日行われた視察の際には外気温が35度だったのに対し、競技場内に持ち込まれた温度計は42度を示したといいます。

このように猛暑への対策が充分とな言えない状況ですが、小池百合子東京都知事は東京五輪に向けた暑さ対策の一環として、打ち水を活用する意向だと伝えられています。
打ち水そのものは熱を持ったアスファルトを冷却する効果がありますが、条件によっては熱せられたアスファルトにまいた水が蒸気となり、逆に大気の温度を上げてしまう等、逆効果になるとも言われています。

②サマータイム導入で競技スタート時間を繰り上げる対策も

このような酷暑の中での大会運営に抜本的な対策が必要という声が上がる中、政府・与党は夏の時間を2時間繰り上げる、サマータイム制の導入を本格的に検討し、31年に試験導入、32年に本格導入する案を有力として2018年秋の臨時国会での議員立法提出を目指します。

サマータイムの導入が実現した場合、午前7時スタートを予定されているマラソンは午前5時スタートとなり、最も涼しい時間帯に競技を開始し、暑くなる前に競技を終了することができるようになります。

どうなる五輪?

政府が掲げる2020年に4000万人というインバウンド人口の目標には東京オリンピックでの集客も含まれています。各国の選手団や報道関係者等、計算できる分も含めて2020年の夏にはインバウンド人口が増えるのは確実と言えますが、この一大イベントを通して訪日した外国人観光客に不快な思いをさせた場合、彼らにリピーターとして再度日本を訪問したい、と思わせることは出来るのでしょうか?
目先の目標を達成することも重要ですが、より長期的な視点に立ち、日本が観光立国足りえるような行動が必要に思えます。

まとめ

開催時期の変更や競技開始時間の変更等、実効性のある対策が取られることが望ましい東京オリンピックですが、開催時期はIOCが92年のバルセロナ大会以降は指定しているために変更が難しいと言われています。
しかし、選手や観客の生命にもかかわりかねないこの問題、開催まであと2年の時間を活かして何等か有効な対策を講じて欲しいものです。

検討に入ったと報じられているサマータイム制の導入ですが、オリンピック大会の運営だけでなく、国民全員の生活習慣の変更も強いる大きな動きとなりますが、通勤・通学等の酷暑対策にもなる等の効果も予測されています。
導入には慎重な議論が必要ですが、現状上がっている対策の中では最も実効性がありそうなだけに、前向きな議論を進めてもらいたいですね。