訪日外国人観光客の増加によってインバウンド消費の経済性についてポジティブな面がクローズアップされていますが、その一方で新たな問題も指摘されるようになっています。
その中でも交通に関する問題が顕在化してきていますので、特に目立つものを整理しておきましょう。
白タク問題
以前の記事『【白タク問題】摘発できない?違法タクシーの今後』で触れましたが、中国人を中心に白タクを利用する訪日客が増加しており、専用アプリ「皇包車」には東京で約2000名、大阪で約1400名もの白タクドライバーが登録していると言われています。 白タクを摘発するには金銭のやり取りという事実が必要ですが、中国はキャッシュレス化が進んでおり、個人間でもWechat pay等のアプリ経由で現金を用いずに決済ができてしまいます。そのため、友人を送迎している、と言い張られると摘発が難しくなってしまいます。
踏切で遮断機が降りて来ているのにも関わらず、中に入ってしまう
日本人にとっては当たり前のルールを外国人観光客が理解していないというケースも散見されますが、そのうちの1つが遮断機です。 遮断機は車両に対してだけの警告だという誤った認識をしている外国人も少なくなく、JR西日本によると外国人が踏切内に取り残されるケースが月に1、2件発生しているそうです。 そのためJR西日本では当該の踏切に英語、中国語、韓国語で「踏切内で止まるな」という表示が出るように電光掲示板を設置する等、対策が進められています。
高速道路乗り放題の裏で急増する事故
首都圏を除いたエリアでの外国人観光客の移動手段としてレンタカーの有効活用が提案されており、活性化のために全国の主な高速道路が乗り放題になる「ジャパン・エクスプレスウェイ・パス」の販売が2017年10月13日からスタートしました。 このサービスによって外国人観光客の地方への移送が可能になり、地方でのインバウンド需要の活性化が期待されていますが、デメリットも同時に懸念されています。 最も考えられるのは交通ルールが異なっている国から訪日したドライバーの増加による事故の可能性です。交通事故総合分析センターの調査によると2014年に28件だった外国人による事故は2016年には81件と約3倍に急増しています。
まとめ
インバウンドを活性化する上で交通手段の整備は欠かせない問題となっており、それぞれに努力や改善が続けられていますが、その反面で様々な問題が持ち上がってきていることは事実です。 外国人観光客を呼ぶ、というところに注力するだけではなく、呼んだ後の適切な対策が求められています。