インバウンド人口は右肩あがりに増加をしていますが、訪日観光客が旅行中に困ったこととして施設のスタッフとコミュニケーションが取れない、いったような言語の問題があります。
今回はAI技術でコールセンター業務がどう変わるのか、見ていくことにします
多言語対応コールセンターの現状
観光庁が2018円3月に発表した多言語コールセンターの実態調査によると、訪日外国人を対象とした多言語コールセンターの導入は東北、関西、中国、四国地方を中心に導入が進んでいます。 都道府県レベルの提供がない地域もありますが、広域レベルの多言語コールセンターを合わせると日本全体がカバーされているのが現状です。 今後もインバウンド人口の伸びが予想されることから、さらに都道府県レベルでの導入が進むことが予想されます。
AIの技術アップでコールセンターも自動化?
様々な分野での活用を目指して研究が続けられているAI技術ですが、コールセンター業界でも導入が始まっています。 コールセンター業務の受託とAIコンシュルジュの開発・サービスを提供している株式会社U-NEXTマーケティングによると、AIで自動化することにより待ち時間や繋がりにくさを改善、夜間の稼働も可能になることで、人件費の削減と人材のコア業務への集約が実現するといいます。
AIコールセンターが訪日外国人向けのサービスを提供
iPhoneに搭載されているAIアシスタント、Siriを始め、音声で操作ができるスマートフォンやスマートスピーカーは既に製品化されていることから、AIによりコールセンターの自動化と多言語化が実現すれば、コールセンター運営の予算を大幅に減らしつつ、案内の質を向上させることができそうです。
AI化によるメリット・デメリット
メリット
コールセンターの業務をAI化することで様々なメリットが出ると言いますが、その中の一部を紹介します。
①人材確保の心配がいらない
インバウンド向けの多言語対応コールセンターとなると、対応言語の数だけオペレーターを確保する必要があり、その分人件費がかかります。 元々コールセンターは離職率が高い職場と言われており、言語対応を考慮しなくてもオペレーターの確保は課題となっています。 しかし、AIであればソフト的に多言語対応できていれば人材確保の心配がなくなり、さらに人件費を考慮する必要がなくなります。
②顧客満足度の向上
現状、コールセンターを運営する企業ではオペレーターの研修に十分な時間を割くことができず、結果として顧客が望む品質の案内ができず、顧客満足度が下がってしまう、ということがあります。 しかし、AIであれば一定の品質を担保できる他、オペレーター間の技術の差も存在しなくなります。 また、人手が不足するとオペレーターにつながるまでに時間がかかり、これもまた顧客満足度を下げる要因になり得ますが、AI化で解決できる可能性があります。
デメリット
AI化によるデメリットですが、人が対応しないと解決が難しいような場面です。 製品やサービスに対するクレームを受け付けるような場面では、電話を掛けてくるお客様も感情的なことが多く、心情に寄り添って対応するためには人が対応をする必要があるでしょう。 そのため、全てをAI化するのではなく、繊細な対応が必要な時には人が対応し、それ以外のテクニカルな問い合わせ等にはAIが対応する、というような柔軟性が必要になるでしょう。
まとめ
今回はコールセンターについての記事でしたが、AIを含めたインフラ整備と効率化は必要ですが、訪日外国人に活用してもらうためには多言語対応コールセンターの存在を認知してもらう必要があります。 災害時の情報入手先としSNS等が上位に来る、という記事を以前載せていますが、認知をどのようにするか、訪日前、訪日後に切り分けて検討する余地があるのではないでしょうか?