昨今、外国人観光客の日本の博物館等の文化施設に対する関心は益々高まってきています。
しかし、まだまだ外国人観光客のニーズにこれらの文化施設が対応できていないのが現状です。
そんな中、堺市博物館が実施した翻訳眼鏡という画期的な翻訳のあり方について今回はご紹介して行きたいと思います。
高まる文化施設のニーズとそれに伴う諸問題
観光庁のデータによると、
訪日旅行に際し、食事やショッピング、温泉を期待する外国人旅行者が多いが、回答者の約24% は、博物館・美術館に期待すると回答している。ただし、旅行後に博物館・美術館に満足した と回答する人は約18%に下落しており、訪日前の期待値と実際の満足度に差が見受けられる。
引用:http://www.mlit.go.jp/common/000147850.pdf
となっており、まだまだ改善の余地が多いことがわかります。
さらに調査によると、
日本の博物館等に必要と考える対応・サービスでは、全体の約7割が「言葉が通じるスタッフの配置」、「展示に関する外国語の解説」、「外国語による館内案内表示」、「外国語ウェブサイト」と回答しており、これらは博物館等の外国人受入体制整備における重点課題といえる。
引用:http://www.mlit.go.jp/common/000147850.pdf
とも言われています。 外国人受入体制が文化施設に求められる中で、堺市博物館が実証実験を始めた「翻訳眼鏡」というものについてご説明して行きたいと思います。
まるでドラえもんのひみつ道具?翻訳眼鏡とは
※写真はGoogleglassで現実のものと異なりますが、似た形状のものです。
今回、堺市博物館が初めて実験を開始した、翻訳眼鏡は、観光ガイドが話す日本語の音声を翻訳し、特殊な眼鏡にリアルタイムで字幕を表示するというものです。 まるでドラえもんの世界に出てきそうな、近未来的なものとなっています。 来館した外国人客には特殊な眼鏡を無料で貸し出しており、ガイドが展示物などを解説すると、即座に英語や中国語、韓国語に翻訳され、外国人客は眼鏡に映し出された字幕で理解できるようになっています。
AR(拡張現実)での言語対応は今後当たり前になるかも?
※こちらはAR(拡張現実)のイメージ画像で、堺市博物館のものとは違います。
今回の堺市博物館での実験は12月まで実施される予定であり、堺市の竹山修身市長は「IT(情報技術)を活用したサービスを導入し、おもてなしを充実させたい」と話しています。 今回ご紹介した翻訳眼鏡はARでの言語対応の一例になりますが、こう言った技術が普及していけば、ARによる言語対応はますます当たり前になってくることが予想されます。 数年前の私たちではスマートフォンの登場でさえ想像がつかなかったように、今の私たちには想像もつかないような未来がやってくるのは、案外先の話ではないのかもしれません。