2018年のインバウンド数は3000万人の大台を超え、過去最多を更新しつづけています。
インバウンド層が訪問する都道府県を観光庁の18年1月~3月期の調査から見ると大阪の39.1%、東京都の37.2%、千葉県の29.6%がトップ3となり、低い方を見ると高知県、福井県は0.1%となっており、格差があることがわかります。
そこで1年を通して多くのインバウンドが訪問する北海道・富良野を例に地方でありながら人気を得ている秘密を見ていきましょう。
富良野はなぜ人気?
北海道で人気を集めている観光地といえば富良野ですが、冬の富良野はパウダースノーで有名です。 しかし、実際に富良野を訪れている外国人観光客は欧米からのスキー、スノーボードが目的の客よりもアジア系が大半となっています。 世界的なスキー場として欧米から多くのスキー客が訪れる同じく北海道のニセコと少し様子が違うようですが、富良野を訪れるインバウンド層はスキー以外にどのような楽しみ方をしているのでしょうか?
富良野で楽しむコト消費
冬の富良野ではスキーやスノーボードはもちろんですが、それ以外にもスノーモービル、犬ぞり、スノーラフティング、パラセーリング、ワカサギ釣り、乗馬など様々なアウトドア体験をすることができます。 特に冬場に実施されている熱気球のフリーフライト体験は大人ひとり1万4000円とリーズナブルとは言い難いですが、真っ白に広がる雪原と十勝連峰の美しい風景を一望するという貴重な体験は多くの人々を惹きつけているようです。
地元が作り上げた富良野ブランド
ラベンダー畑が有名になった理由
富良野はといえばラベンダー畑が有名で、世界的にもブランド化していますが、これは自然発生したものではありません。 元々香料としてラベンダー農家が多かった富良野ですが、1970年代以降は人工香料等に押され、ラベンダー農家のほとんどは別の売れる作物に切り替えた結果、ラベンダー農家はほとんどなくなっています。 しかし、ラベンダー畑を全て潰してしまうのはもったいない、と考え、一面だけ残したのがファーム富田で、現在の富良野=ラベンダーのはじまりです。 ファーム富田ではラベンダー畑を見せるだけではなく、ラベンダー摘みの体験、香水工場の見学等、様々な体験を提供していました。 これが評判になり、口コミで広がり、ドラマ「北の国から」で全国的な認知を獲得します。
成功体験を元に皆が学習
ラベンダーから離れていた農家もまたラベンダーを作り始め、さらに富良野はラベンダーで有名になり、他の農家も様々なアイディアで観光客に向けた体験を提供するようになります。 このようなファーム富田を中心とした成功体験を元に、富良野は常にブランドを意識し、勉強をし続けていることでさらに満足度の高いコト消費を作り出すことに成功しています。
まとめ
2003年に5,678だった富良野のインバウンド宿泊延数(宿泊客×日数)は、2017年には13万1637へと23倍に拡大しましたが、これは地元が一体となった観光資源開発とブランド化の成果と言えるでしょう。 観光資源に恵まれているように見える富良野ですが、きちんと地元の資源を観光客向けに開発し、発信した結果だということを考えると、インバウンドを誘致したいけど地元にはなにもない、というところでも実は見落としている魅力があるかも知れません。