中国・武漢市で発生したとされる新型コロナウイルスによる肺炎ですが、多くの観光客にも影響を及ぼしています。
今回はサーベイリサーチセンターによって行われた新型コロナウイルスによる肺炎の情報を訪日旅行中の外国人観光客がどのように情報収集を行い、対応したか等についての調査結果を見ていきます。
調査は1月29日時点で日本に滞在していた訪日外国人旅行者が対象で、調査員が外国語で面接し、聞き取りを行うという方法をとっていますが、どのような点が課題となるのかを確認しましょう。
訪日客の情報収集方法は?
新型コロナウイルスによる肺炎をいつ知ったか、という質問に対しては発生国とされる中国で抑え込みを指示と報道された1月16日~23日が29.7%と最も多かったのですが、検出報道前の2019年12月1日~2020年1月8日に既に認知しているという旅行者が20.7%いました。
新型コロナウイルスによる肺炎についての情報源
情報源として活用されたのは母国のメディアが最も多い回答を集めました。日本のTVやラジオは情報源としては19.1%の回答でしたが、役に立った情報源は、という設問になると日本のTVやラジオを挙げた回答は4.7%に留まりました。
新型コロナウイルスによる肺炎の影響で旅程を変更した?
新型コロナウイルスに関しての情報を得た後、旅程を変更したかという質問に対して、85.9%が変更をせずに当初の予定通りに訪日旅行を行ったことが分かりました。 6.6%の旅行者が旅程の変更をしていますが、そのうち発生国地域での感染拡大の報道をきっかけにしたという回答が47.1%でした。
宿泊施設関連
宿泊施設での情報提供
訪日旅行中の滞在先となるホテル等の宿泊施設での情報提供については下記のような回答が得られています。
情報提供がなかったとする回答が半数以上となる55.5%を占めた他、情報の提供はあったものの日本語だったので理解できなかった、情報提供があったかどうかわからない、といった回答も含めると十分な情報提供がなされたとは言い難い状況のようです。
宿泊施設での対策
また、滞在した宿泊施設では下記のような対策が取られていたという回答でした。
しかし、特に対策は無かった、という回答が34.4%と少なくないという点が気になります。 聞き取りは1月29日に行われていますが、回答の対象となっている滞在日がいつなのかはわからないため、感染拡大に関する報道が本格化する前に宿泊した時のことを回答しているようであれば宿泊施設も対策を用意していないことも考えられますので一概には言えません。 s新型コロナウイルスが沈静化するまで時間がかかりそうなことを考えると今後は宿泊施設でもマスク、洗浄剤の設置などをする必要がありそうです。
まとめ
その他、新型コロナウイルスによる肺炎等の感染症発生時の対応として希望することとして、医療機関情報などを提供してほしいという回答が43.0%、インフォメーションセンターでの情報提供を充実してほしいという回答が42.6%、滞在していたホテルで感染症対策の指導等をしてほしいという回答が32.4%という内容から、迅速かつ正確な情報提供が求められていることがわかります。 過去にも防災対策について何度か記事『【台風19号直撃】相次ぐ災害で訪日外国人向けに防災対策強化』にしていますが、外国人観光客の情報収集手段を理解し、SNSを活用することや宿泊先での適切な対応の重要性が改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。